約 730,086 件
https://w.atwiki.jp/busosodo/pages/112.html
武装神姫達のソード・ワールド2.0【第2-2話】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19081331 クーガのステータス 魔物データ/クーガ なお、本来なら『骨組みだけの試作品で、稼働していることは稀』という設定。 なのだが、メカニックな雑魚敵として手頃なデータではある。 グルガーンのステータス 魔物データ/グルガーン
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1699.html
とある日の三河家 目を覚ますと何やら違和感が。はて、なんでしょうこれは?あ、お早う御座います。結です。 体機能に異常はありません。手足も問題なく動きます。 んー、でも何か違和感があるのです。 「・・・あっ」 手をグッパ、グッパとしていて気が付きました。本来犬型の手は黒いのに今動いている私の手は肌色です。昨日言われていた「考え」とはこの事だったんですか。何ともはや仕事が速いですね。 「ん?」 と言う事は・・ 「・・・・・・!!!」 自分の体を見下ろし数秒、狼狽します。クレイドルの上で全身肌色の私が寝転がっているんですから仕方ありません。寝る前に着ていた寝間は横に畳んでありそれを引っ掴んで即行で着ます。 あー、吃驚しました。 冷静さを取り戻すとクレイドルを文鎮代わりにしているメモを見付けます。 『昨日言っていた通り体の外装を交換した。一応以前の外装は保管していあるから問題があるようなら帰宅後言うように。後一応裸なんだし下着を用意しておく』 メモの横に包装されたままの神姫用下着が置かれていました。 「ありがとう御座います。ご主人」 メモに向かって一例を。でも出来れば寝ている時にタオル掛けておいて欲しかったかも・・・ いつもの巫女服に着替える前、下着を付けます。 が、袴なので下はいいとしても上は少々不釣合いのようです。薄布とはいえ白小袖では浮いてしまいます。ここは今まで通りサラシを巻いておきましょう。最後に白足袋を履いて時計を。 「えぇ!?」 時刻は午前10時、いつもの起床時間より4時間も遅いです!急いでお勤めをせねばなりません! 一路境内へと走ります。 「寝過ごしました!すいません!」 境内を掃除されていた奥さんに謝罪をして竹箒を手にします。 「お早う。話は聞いてるわよ、ゆっくりしてなさい」 「お早う結さん。今日は休む事がお勤めだ」 宮司さんも箒を手に拝殿前にいらっしゃりそのままご夫婦で掃き掃除を続けられます。 「ですが・・・」 「「ダメ♪」」 さて、何をしましょう。お勤めはお休みとなりましたし盆栽は今のところ手を加えられませんし。 「トレーニングしますかね」 体の確認も兼ねて軽めのものをこなすとしましょう。 仕込みを抜いて剣の型を始めます。 上段に構えてから唐竹、逆風、袈裟懸け、右切上、左薙ぎ、逆袈裟、左切上、右薙ぎ、最後に腕を引いて刺突へ。剣術に於ける最も基の型を続けます。 「ふむ」 どうやら間接や稼動部のメンテもして頂いたようです。手足は滑らかに、昨日までよりもより軽快な動きが出来ています。 調子に乗って逆手での連撃まで練習してしまいました。 お昼まで練習を続け一旦休憩をと公園へ向かいます。 「ふぅ」 ベンチに腰掛一服を。そういえばこう何も無くのんびりするのは久々な気がします。いつもならお勤めや盆栽の手入れなどしていますしね。 「にゃぁ」 「あっ、こんにちわ」 公園から来たのはご近所の猫サスケさんです。この方飼い猫なのに野良達を束ねているのですよ。しかもご老人方に人気なのです。日がな一日ここでのんびりしている姿が癒されるのですね。自分より大きなその体を撫でているだけでなんともゆったりできるので私もファンだったりします。 そんな彼をモフモフして過ごすのも良いものです。 昼過ぎ、ご主人が帰宅されました。 あれ?今日は平日なのにどうされたのでしょうか? 「今日はお早いですね」 「半休。それより体はどうだ?」 「問題なく。寧ろ調子が良いくらいです」 満足そうに頷かれ鞄から神姫センターの袋を出されます。 「それは?」 「今日は何日だ?」 えっ、確か三月の10日・・・・あっ! 「思い出しました」 「自分の誕生日くらい覚えておけ」 そうなのです。今日は私の誕生日でした。厳密にはこのお宅に来た日なのですけどね。宮司さんご夫婦がその日を誕生日とされたのです。 自分事とは言えそれを忘れていたとはお恥ずかしい限りで。 「周りの事には敏感なくせにな」 「面目ないです」 カラカラと笑うご主人と共に部屋に戻りました。 自室で例の袋を開けると出てきたのは一着の服でした。 「思えば巫女服以外着てない気がしたからな」 「とても嬉しいです!」 それを中から取り出します。そっと後ろを向くご主人、紳士ですね。 朱袴と白小袖を脱いで側に畳み新しい服を手にします。藤色の矢絣のお召しに海老茶色の袴と何ともハイカラな組み合わせ、私の好みを熟知されています。更にはいつもの足袋と黒塗りの駒下駄と皮のブーツの二種類を選べるのですよ。 「ご主人」 「ん、似合うぞ」 その一言に何とも言えない幸福を味わいます。「嗚呼、何と幸せな事か」とね。にやける自分が容易に想像できますが笑顔を止める事など無理なのです。新しい服というもの勿論ですけど何よりプレゼントされたという事が嬉しいのです。自身のオーナーからなのですから尚更なのですよ。 「ほれ、ニヤニヤしてないで出掛けるぞ」 「あ、はい。只今」 ご主人の肩の上にて景色を眺めつつ会話を楽しみます。 「ところでどこに行かれるのですか?」 「特に目的地はないな。散歩だよ」 「成る程。それもいいですね」 どこへともなくブラブラと、ゆったりとした時間は穏やかで何気ない会話も楽しくて。ただの散歩にもこんなに幸福はあるものなのですね。 「あれだな、お前がウチに来てからもう2年か」 「ですね。早いものです」 のんびりとご近所を散策しつつ会話は過去の日へと。 春先に私はここに来ました。 オーナー登録を済ませた私が見たのは暖かな陽日と穏やかな境内の風景でしたっけ。 「ここがご主人のお住まいなのですね」 「ん。後両親と近所の野良、お前もな」 宮司さんご夫婦との挨拶に始まり神社を案内して下さいました。そしてお昼、私にとって重要な事が起こります。 「こんにちわ」 「おー、早かったな」 大学をお休みした直子さんがいらっしゃいます。手にした大きなトートバックには何やら着替えらしきものが見えていました。 「取敢えず上がってくれ。もう少し辺りを回ってくるから」 「はい。そうそう、こっちの二人も起こしておきますね」 境内を出てご近所を散策します。「近所くらいは知っておけ」との事で。 少し歩けば秋葉原の電気街、反対側に向かえば住宅地、道を2、3本交えるだけで景色はガラッと変わるのでとても楽しかったものです。更に小さな商店街では私達同様に神姫を連れた方を沢山見かけました。皆楽しそうで印象的でしたよ。それに空気がなんだか暖かくて。 「大体こんなとこかな。把握できたか?」 「はい」 目覚めたばかりでまだまだ感情表現が薄く気の利いた応えが出来ませんでしたね。 一通りの散策を終え帰宅するとそこには直子さんが。 「只今戻りました」 「お帰りなさい」 ご主人の肩から見たその姿は境内の雰囲気と相まって落ち着けるものでした。来訪時の私服から着替えた直子さんは白の着物に朱色の袴、巫女の出立で淑やかでした。その姿に私は何かを感じます。 「あ、あの、そのお姿は?」 「うん?巫女よ。神社のお勤めをする女性の事ね」 ただ境内を掃除しているだけだった筈なのに私は深く感銘したのです。そして、 「ご主人、唐突ではありますがお願いが御座います!」 「ちゃんとしたのは後で造ってやるから暫くはそれで我慢してくれ」 「勿体無いお言葉です!ありがとう御座います!」 奥さんの趣味たる手芸の技術をもって私は巫女服に袖を通したのです。家事でお忙しいでしょうに快く誂えて下すッた奥さんと着替えた私を神前にて祈祷を捧げて下すッた宮司さんには心よりのお礼をしたのは言うまでもありません。勿論ご主人もですよ。 「それじゃ次は私の番ね」 「お願いします!」 ご主人の肩をお借りし直子さんのご指導を頂戴します。 効率の良い掃き掃除の仕方からお勤め全体の流れ、特に塵の積もり易い場所や社務所での手順に参拝の仕来り等々、細かなところまで丁寧にご教授頂いたのです。更には宮司さんから木々の手入れの仕方を、奥さんから家事全般の教えを。 「ウチにも巫女さんが居てくれると助かるわ」 「だな。バイトさんだけでは厳しい時もあるしな」 「精一杯励まさせて頂きます!」 深々と頭を下げ今後のお勤めの意気込みを示しましたよ。 「好きな事するのも肝心だ。でも偶には付き合えよ?」 苦笑のご主人を覚えています。 「勿論です。私は武装神姫でオーナーはご主人なんですから。本来のバトルも誠心誠意、粉骨砕身の決意です!」 「ああ。でもま、バトルも楽しみ優先で行こうな。「好きこそモノの」ってやつだ」 「はい!」 その後春音さん、綾季さんとのご対面をし夜には祝賀となったのでした。 「思えば中々に長い期間たったのですね。光陰矢の如しですね」 「だな。それから10日後だったな初陣は」 「はい。覚えていますよ」 私は少し苦笑します。 境内の掃除や手水舎の準備は最初は手間取ったものです。 そんな日常も少しずつ慣れ始めた頃、私は始めて神姫センターに赴いたのです。 日頃ご主人の帰宅後にトレーニングを積み重ねていた私は犬型の基本装備を何とか使える程度にはなっていたました。 「次の金曜日休みだから行ってみるか」 「はい」 その時はまだこの近辺のレベルも知らず初陣に心躍らせていましたっけ。 当日。 午前というのもあって比較的空いているいる時間帯にセンターを訪れていました。 「・・・スゴイですね」 「だなぁ」 バトルの様子を大きなスクリーンで見ていた私達はその迫力に圧倒されていました。思えばこの時点で気負っていたのかもしれません。踊っていた感情は形を潜め代わりに緊張が押し寄せてきていました。 「ま、初陣だし胸を借りるくらいで行けばいいさ」 「は、はい」 解そうとして下さるご主人の声は聞こえていても私の中は「勝たないと!」と思うばかりでした。 そして私は負けました。それはもう一方的な敗北、正に惨敗でしたよ・・・ 筺体を離れテーブルにて私は落ち込んでいました。 「気にし過ぎ。最初から巧くなんていかないものだ」 「ですが流石にアレでは・・・」 自身の情けなさに暗くなる一方でしたね。 その後も数回バトルをしましたが結果は明白、私は本当に「武装神姫」なのか?と思う程のものでしたよ。 翌日からはお勤めの合間を縫ってはトレーニングに励みました。 只々我武者羅に。でもそれは素人の考えでした。巫女とバトルの二束の草鞋な私は何度もバッテリー切れを起こしては皆さんにご迷惑をお掛けしました。その度に心配されていたにも拘らず無茶もしました。終いには折角頂いた巫女服を損傷するまでに至ります。 「・・・・申し訳ありません・・・」 「服はいいのよ。それよりもあまり無茶ばかりするもんじゃないわよ?」 「そうだぞ。一朝一夕で実力は高くなんてならんさ、少しずつでも続ける方が余程効率も良いし何より負担もすくない」 修繕して頂いた巫女服を着た私は益々落込んでいきました。どうしてこうなんだろう?なんて自分は不甲斐ないのだろう?と。 ある日有給休暇で家にいらっしゃったご主人に私はお願いしました。 「ダメだ」 「何故ですか!?」 「これ以上無理してみろ、それこそ壊れるぞ?」 「ですが・・・私は武装神姫です。バトルに重きを置いていると自負しています。なのにこんな実力では・・・」 トレーニングの増加を進言した私、何も判っていませんでした。 「確かにお前はバトルをメインで考えていた。でもな、その前に体壊したら本末転倒だろう」 「・・・」 言葉を返しはしませんでした。でも表情に表れていたようで。 「なら3日だ。3日だけ試させてやる」 「ありがとう御座います!」 困った表情のご主人が印象的でした。 それから3日間、私はお勤めを休みトレーニングに明け暮れました。 格闘技、投擲、射撃。全ての武装を片っ端から使い的を射るだけのものです。それでもほんの少しは武器の特性を覚えては行きましたがとても効率的とは言えないものでした。簡単に言ってしまえば無駄骨です。何か一つを極めんとしていれば結果は変わっていたかもしれませんがその時は只「覚えれば使える」と勘違いしていたのです。 約束の期日が過ぎいよいよバトルとなった土曜日。 「勝ってきます」 「・・ああ」 あれ程の修練をしたのだ、負けるわけがない!そう思っていましたよ。 でも現実は厳しかったですね。 たった一撃、しかも有効打とは言い難い攻撃が当たっただけでした。 終った・・・・ 私はリセットされるのだろうと覚悟しました。オーナーの意向に背きこの有様では言い訳もできません。 「ま、気にするな」 ご主人の言葉に気遣いを感じましたが私はもうダメでした。 テーブルの上へたり込み宙を傍観していましたっけ。 私は勝てないんだ。努力してもダメだった。もうバトルはしないでおこう。そんな事ばかりがAIを埋めていきました。 その時です。あの方にお会いしたのは。 「お前さん。一歩って小さいと思うかい?」 湖幸さんです。 それ以後は以前お話した通りです。 師匠の教えに今までを思い返し反省しましたね。そして皆さんに謝りました。穏やかに微笑まれる皆さんを鮮明に覚えています。 「あの時は本気で焦ったな。ここまで思い詰めるとは思わなかったし」 「お恥ずかしい限りです。今思い出すと・・・いえ、恥ずかしいので止めておきます」 カラカラと笑うご主人。私は赤面して俯きます。なんで恥ずかしい事とかって忘れないんでしょう? 過去の話に花を咲かせ、笑ったり、照れたり。何気ない会話を楽しみ続けました。 日が傾き始めた頃私達は神社へと戻ります。 夜はお祝いと豪勢なお食事を頂きました。何とも恵まれ過ぎな自分が申し訳ない気がします。 今年で二回目の私の誕生日、より絆を感じれるこの日、とてもとても幸せでした。 「でも忘れてたけどな」 「ぁぅ~」 現在装備 巫女服 ×1 仕込み竹箒 ×1 玉串ロッド ×1 御籤箱ランチャー(改) ×1 灯篭スラスター ×2 リアユニット賽銭箱 ×1 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/633.html
目覚めればそこは …眠りから覚める。 ゆっくりと目を開けると、目の前にパソコンに向かっている人影が見えた。 “私”が初めて見る風景。 未だ夢の中にいるような感覚ー…自分の意思とは別に、定められた初期プログラムに従い最初の一言をかけようとして…-気づいた 「っひゃぁぁぁああぁぁぁっ!?」 突然上がった絹を裂くような…むしろ音量を考えると食器棚をひっくり返したような悲鳴。 ゆっくりと振り向くと其処には、全裸の女の子が自分の体を隠すようにしゃがみ込んでいる。 女の子といっても生身じゃなくて全高およそ15cm、最近巷で流行の“武装神姫”…有体に言って玩具なわけですが。 彼女はその中でも武者をモチーフとした“紅緒”タイプだ。 ちなみに全裸というかあれは肌色素体だ。 顔を真っ赤にして(目じりに涙まで溜めて)その場にしゃがんでいるその子は、それでも持ち前の職業意識(?)からかこちらに話しかけてきた。 「あっ、あ、あの、貴方が私のマスターでしょうかっ!?」 降って沸いた嗜虐心に唆されてもうちょっとこのまま放置してみようかな、等と外道な思考を彷徨いかけたがまぁ、ソレも可哀想な気がしてきたので 「む、俺は堀川 六角、よろしく」 「登録しました…あの、それと、私…紅緒タイプは素体ボディ同梱だったと思うのですがっ!何故いきなり裸なのでしょうか!?」 変わらずしゃがみ込んだまま聞いてくる。 「ああ、それは話すと長くなるんだが、とりあえず君の体は隣にいるよ」 恐る恐る、という風情で振り返る彼女。 その視線の先には、特徴的な曲線を描く塗り分けに円形の模様…紅緒タイプの素体ボディを使ったツガルタイプが微妙に困った表情を浮かべながら立っていた。 「最初は知らなかったんだけど、“アデルトルート”…そのツガルタイプを買ったときに別売りの素体ボディが必要でね?」 「そこで、何故だか安売りしていた君を買って、少し体を拝借してね」 「そのままほうっておくのも可哀想な気がしたから、新型素体の発売(※注)に合わせて素体ボディを追加購入したんだよ」 朗らかなに言い放った直後 ターン 顔の横を何かが高速で通り過ぎた。 はらり、と髪の毛が数本落ちる。 ぎこちなく飛来元をみるとそこには火縄銃“気炎万丈”を構え、銃口から紫煙をくゆらせる彼女の姿が。 涙目が血走ってもはや鬼の形相と化していますよ、お嬢さん? 「今すぐ、元に、戻してください」 「ははは、まぁ落ち着いて話し合おうじゃないか。まずはその物騒な得物を下ろしてくれなさい」 我ながらわざとらしい笑顔を浮かべつつなだめにかかる。意外と短気だこの子…と、そう考えてふと思いつく。 「ホムラ…」 「え?」 聞きとがめて、鎧を着終えた彼女が振り向く。 「焔、君の名だ。顔を真っ赤にして照れて、怒りっぱやい。最適だとおも…だから気炎万丈を構えるのはやめてくれなさい」 危ない危ない…とりあえず気炎万丈は後でどこかに隠しておこうと思いつつ、フル装備の彼女…焔をしげしげと眺める。 「あお、マスター…?」 「ふむ、全裸に鎧というのも中々おつなものだとだからかまえるのやめっておい、ちょ!」 ターン ※注 …実際は素体の発売は四弾と同時ですが、それまで全く何もないというのも何だか変に思えるので“前からあったけど今回新型がでた”という設定に勝手に妄想。 素体購入後の武士子との一幕。 実際に動いたらこんな感じだろうかという妄想を膨らませつつ全裸に鎧にトキメキを覚える今日この頃いかがお過ごし。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1874.html
舞台は2036年、世界が平和なまま迎えた約30年後の未来。 ただ一つ変わったことは、『神姫』と呼ばれるフィギュアロボが人気を集めていること。 全国の主要都市には神姫を購入できる「神姫センター」なる施設が建ち、 その中ではその神姫達を戦わせる「武装神姫バトル」が行われ、絶大な人気を得ている。 これは、一人の少女と一体の神姫の果て無き挑戦である…… 朝…それは果てしなく、清々しいもの。 少なくとも私…長月スバルは、そう感じている。 そんな爽やかな朝に、最高の瞬間が訪れた。 「遂に手に入れた…私のマオチャオ~ッ!」 ついつい、お気に入りの神姫を見ると叫んでしまうのは私の悪い癖だ。 「…うぅ…何事ですか。マスター」 「ふわぁ…眩しいです」 「…またですか」 そのせいで、私の神姫たちが起きてきてしまう。 上から、天使型アーンヴァル「春姫」、犬型ハウリン「彩里」、忍者型フブキ「神無月」。 おかげで、フブキの神無月には、毎度のことながら呆れられている。 「起こしちゃってごめんね」 「いいえ、別に構いません。もしかして…この子の起動ですか?」 さっすが、私の神姫!察しが良いな。 「そ。あとは、CSCを入れるだけかな」 「手伝った方が良いですか?」 春姫が上目遣いで私を見る。 あぁ…ダメ!そんな目で私を…私を… 「姫、そろそろ起動を…」 神無月の言葉で、遠い世界に行きかけた私の意識が戻る。 「やばいやばい、また行きかけてしまった。じゃあ、そろそろ起動(お)きよっか?」 しばらくすると…CSCを装着し終えたマオチャオがゆっくりと目を開く。 「Kemotech製、Automaton神姫…猫型マオチャオ、KT36C1…セットアップ完了、起動します」 そう言い終えると、マオチャオは私の前にちょこんと可愛らしく立った。 「無事起動(お)きたましたね、マスター」 「ですが、お時間の方はよろしいのですか?」 春姫の安堵の声に対し、神無月の厳しい声が飛んだ。 「時間?今日は日曜日だし、学校も無いから大丈…」 ふと見た携帯の液晶画面に表示された時間と日付を見て、私は絶句した。 AM7 55 9月1日 月曜日… 「…あれぇ?壊れたかな、この携帯。まだ変えたばっかりなのにぃ…」 「壊れてもいませんし、日付も9月1日で間違いありません。 そもそも、姫は昨日からその子を見つめっぱなしでした。 気付いてなかったと?」 私のボケもスルーして、神無月は滅多に見せない怪訝な顔をしてそう言った。 もしかして、若干キレてる…? 「…つーことは、私、24時間くらい起きてたってこと?」 恐るべし!長期休暇。 長い休みのあまり、曜日感覚がずれて今に至る…と。 「姫!ですから時間が…」 「うわーん。せかっく起動(お)きたのに、話す暇も無いなんてぇ~」 「自業自得です」 「そうそう、マスターが悪い」 「少しは自覚をしましょうよ…」 「?」 訳の分かっていないマオチャオをよそに、神無月と彩里、 それに春姫と三体の神姫たちにキツイ言葉を浴びせられながら、私は渋々学校に行く準備をする。 そんな時、マオチャオが私の袖を引っ張った。 「ん?どうしたの?」 「私の名前…」 おぉう!学校に間に合う、間に合わないの問題じゃない! 起動(お)きたばかりの神姫に、名を付けずして何が神姫オーナーか! 「ごめん、ごめん。すっかり忘れてた。 ちょっと待ってね。えっと…確かここに…」 ゴソゴソと机の中を漁ると、あった…紐付きの小さな鈴。 「これを首に掛けて…と。 貴女は、香鈴。香るに鈴で香鈴っていうの。どうかな?」 私はニッコリと笑って、マオチャオ改め『香鈴』を見つめながらそう言った。 「うん!気に入ったよ!それで貴女のことは何て「スバルお姉ちゃんで!!」」 香鈴の喜ぶ声を聞きながら、私は真っ先に呼び方を叫んだ。 「無駄に早いですね。マスター」 春姫が呆れた声でそう言った。 「だってだってぇ、こういう子にお姉ちゃんって呼ばせるの夢だったんだもん。 …って、うわっ!?時間が! ゴメン春姫、あとのことは最年長者である君に任せた! う~!あ~!遅刻ぅ、遅刻ぅ~っ!」 バン!と扉を開けて、叫びながら私は家を出て行った。 オーナーであるスバルが居なくなった部屋は、騒がしさが消え静寂が辺りを支配する。 「まさに嵐ですね…姫は」 「まぁ、いつにも増して賑やかだったことは確かだね…」 「気にしたら負け…マスターはいつもそう」 神無月と彩里、春姫の三体は「「「はぁ~…」」」と、ため息を吐いた。 「?」 最後の最後まで、訳の分からない香鈴だった…。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2238.html
ウサギのナミダ・番外編 少女と神姫と初恋と その6 ◆ この試合のステージは、『山岳』ステージが選択された。 山岳ステージは、特に飛行タイプの武装神姫にとって、スタンダードで人気の高いステージである。 小高い丘陵と、森林、そして湖が広がる美しい舞台設定だ。 眺望の美しさもさることながら、地形を利用したテクニカルなバトルが展開されることになり、好ゲームになる率が高いステージでもある。 今回は両神姫とも飛行タイプ。 ギャラリーの熱は徐々に高まっていく。 「勝率がまた少し上がったな」 「運も味方したみたいね」 遠野と菜々子のつぶやきに、大城は首を傾げるばかりだ。 「なあ、いい加減、俺にも教えてくれよ。いったい、オルフェはどんな手を使うってんだ」 「試合を見ていればわかる。おそらく、俺が説明してる間に、試合が終わるから」 その言葉に、大城は改めて、試合の映し出されている、観戦用の大型ディスプレイを見上げた。 いままさに、『玉虫色のエスパディア』が、深緑の上を飛翔しているところだった。 ◆ 『玉虫色のエスパディア』ことクインビーは、森林上空を索敵しつつ飛んでいた。 今日のバトルは簡単だ。 初心者の新型を切り刻むだけでいい。 いつもはたくさんの武装を搭載しているが、今日はノーマル装備である。ほぼすべて近接武器という仕様だ。 だが、心許ないことはない。 むしろ体が軽くて機動性が上がり、いつもよりも戦える気さえしてくる。 彼女のマスターはいつも憎たらしい言動で、嫌われるのも当然かと思うが、バトルの腕は本物だ。 負ける要素が見あたらない。 クインビーはそう思っていた。 すると突然。 クインビーの直下、深い森の隙間から、何かが飛び出した。 「うわっ!」 猛スピードで突っ込んで来た白い塊は、そのままクインビーに激突、弾き飛ばした。 しかし、彼女は身体を振り、スラスターを器用に操って姿勢を制御。 すぐに正位置に戻り、体勢を安定させる。 その間に、激突した各部のチェック。 特にダメージは見られない。 激突してきた相手を見据えたときには、すでに臨戦態勢が整っていた。 クインビーの実戦経験の豊富さがなせる技であった。 クインビーは口元をゆがめ、ニヤリと笑う。 相対するのは、アルトレーネ・タイプのオルフェ。 今日のオルフェの装備は、ノーマルと違い、一対のメカニカルな翼が背中についている。機動性を上げ、先手を取る作戦か。 だが、追加装備はそれだけのようだった。 武器はデフォルト装備のツインランスのみ。 クインビーは思う。 ヤツは、千載一遇のチャンスを逃した! 奇襲ならば、今の一撃で勝負を決めていなければならない。 クインビーは間髪入れずに突撃を敢行する。 弾かれた後の間合いは中距離。 この一度の仕切り直しは、クインビーに有利に働く。 体勢を整える時間と、対峙するチャンスを与えてしまったのだから。 真っ正面から戦えば、圧倒的な実力差を発揮できる。 だからクインビーは突撃した。 蜂須は指示を出すまでもない。彼もクインビーと同じ考えだった。 ギャラリーの多くも同様に思っていただろう。 被我の距離はあっという間に埋まった。 オルフェはツインランスを副腕に持ち、待ちかまえている。 クインビーの背後から、アンテュースサブアームが繰り出される。 先端に装備されたのは、エスパディアの二振りの大剣「ジュダイクス」。 左右から、クインビーの超高速の斬撃が閃いた。 しかし。 「……なっ!?」 クインビーの斬撃は、オルフェに届かなかった。 エスパディアの副腕は、アルトレーネから伸びるカニのようなハサミ状のアームでがっちりと押さえ込まれていた。 クインビーは目を見張る。 オルフェの背中にある、追加された翼が展開し、巨大なアームになって、彼女の副腕を掴んでいたのだ。 今度はオルフェが動いた。 副腕で、ツインランスを正面から振り下ろす。 「くうっ……!」 クインビーは、かろうじて、手にした槍「リノケロス」でその一撃を受け止めた。 アルトレーネの副腕は力任せにクインビーを押し切ろうとしてくる。 じりじりと押される。 クインビーに焦りの表情が浮かんだ。 「くそっ、はなせっ!」 間合いを取るべく、オルフェの身体を蹴り飛ばそうと、脚を振り上げた。 しかし、その脚も、オルフェには届かなかった。 「な、なにっ……」 今度は、スカートアーマーが展開し、やはり巨大なカニのハサミ状のアームになっていた。 そして、クインビーの両脚をそれぞれ挟み込んでいる。 よく見れば、翼も腰のアーマーも同じ形状をしている。翼はアルトレーネのデフォルト装備である、腰部アーマーを組み替えたものなのだ。 そこまで理解したとき、クインビーは気が付いた。 今自分が置かれている状況。 オルフェに、サブアームを含めた四肢を、完全に押さえ込まれている。 まるで空中で磔になっているような状態だ。 クインビーは、正面のオルフェを見た。 戦慄する。 オルフェにはまだ手がある。 彼女はまだ、素体の両腕が自由だ。 今、オルフェは細身の剣を腰だめに構えている。 「ま、まて……」 なぜだ。どこにそんな剣を持っていたと言うんだ。 ふとクインビーの瞳に映ったのは、自分に振り下ろされているツインランス。 今は、ただのソードになっている。 オルフェはツインランスの片側をはずし、もう一本の剣として運用していた。 「そ、んな……そんな、そんな……」 オルフェはまっすぐにこちらを見据えている。 突きの構え。 身動きのとれないクインビーに、かわす術はない。 『オルフェ、いっけえええぇぇーーーーー!!』 「はああああぁぁっ!!」 安藤の叫びとともに、オルフェは躊躇なく突きを繰り出す。 はずすはずがない一撃。 刃はクインビーの胸元に吸い込まれ、CSCを貫いた。 「そんなああああああぁぁぁ……!!」 クインビー無念の叫びが響きわたる。 次の瞬間、『玉虫色のエスパディア』の身体は、無数のポリゴン片となって、砕けて散った。 ポリゴン片が舞い散る中、オルフェは展開していたハサミ状アームを、翼と腰部アーマーに戻す。 そして、二本のソードを振るい、ポリゴン片を吹き散らした。 はらはらと音もなく舞い散る光の粒子の中で、戦乙女は佇んでいる。 その幻想的な光景に、ウィンメッセージが重なった。 『WINNER オルフェ』 試合時間は五三秒。 あっと言う間のバトルだった。 ◆ 「勝ったーーーーーーーっ!!」 有紀の歓喜の叫びと同時、ギャラリーが一斉に沸き立った。 秒殺という、まさに圧倒的な勝利。 誰が見ても疑いのない、オルフェの勝ちである。 涼子と梨々香は、美緒の肩を抱きながら喜んでいた。 美緒自身は喜んではいたが、それ以上に安心しすぎて気が抜けたようになってしまっていた。 二人に揺さぶられて、左右に揺れる視界の中。 安藤は震える両手を見つめていた。 ◆ 遠野の作戦は、こうだ。 一週間という短期間で修得できることは数少ない。 現状のオルフェでも使いこなせる装備といえば、セットされている基本プログラムだけで動作できる、アルトレーネのデフォルト装備しかない。 そこで、オルフェの背中に、腰部パーツを組み替えた翼を増設することにした。 これはアルトレーネの発売前に、雑誌で見た組み替え例だ。 安藤の親戚が、アルトレーネの開発会社に勤務しているとのことで、現在入手困難なアルトレーネの装備を、無理矢理借りさせた。 これで一回の接敵で出せる手数は、エスパディアより多くなる。 「……それ、戦闘中の手数の意味とちがくねーか?」 「いいだろ、別に。勝ったんだから」 そして、蜂須に後からクレームを付けさせないためにも、誰にでもわかる圧倒的な勝利を演出する。 それも初手奇襲による一回の接敵で、である。 そこで考えたのが、先ほどの、大型のサブアームで相手を押さえ込む戦法だ。 相手が手も足も出ない状態での、決定的な勝利。 これなら誰も文句は言えまい。 この一週間のトレーニングは、オルフェが装備を自在に操れるようにすることと、副腕を持った神姫を押さえ込む、という動きに絞りこみ、それを徹底的にたたき込むメニューを作った。 結果は大成功と言っていいだろう。 だが、大城はまだ首を傾げている。 「だけどよ。俺が奴らを見張っていたことに、何の意味があるんだ?」 「それはこの策の大きなポイントだ。 そもそも、玉虫色が安藤を侮っていて、何の対策も行わず、エスパディアのデフォルト装備で戦うことが、大前提の策なんだ。 ヤツが何か対策をするなら、策を練り直さなくちゃならない。『ポーラスター』来られても困る。 そのためにどうしても、監視役が必要だった」 平日来ない遠野が監視役では怪しまれる。 菜々子やシスターズは、オルフェの練習相手に必要だ。 だから、大城にしかできない役目であり、「何もない」という日々の報告が作戦の成功を裏付けたのだった。 「まあ……そんならいいけどよ」 つっけんどんな口調だったが、大城の顔はまんざらでもなさそうだった。 ◆ バトルが終わった後、その衝撃的な勝利の余韻が、いまだに安藤を震わせていた。 自分の両手を見つめている。 手のひらはじっとりと汗ばみ、いまだに細かい震えが止まらない。 それほどに、安藤にとって、今のバトルは衝撃的だった。 百パーセント勝てない、と言われていた対戦だった。 それを覆すために、バトル前から戦いは始まっていた。 知略を尽くした作戦と、それを可能にするための事前の特訓メニュー。 死にものぐるいで身につけた、バトルの基本と技、そして対策のための動き。 オルフェと二人で強敵に挑み続け、戦い抜いた一週間。 その結果、オルフェは、ミスティの必殺技『リバーサル・スクラッチ』さえ、展開したアームで止めることに成功した。 安藤の想い、オルフェの想い、この試合に運命を賭けられた少女の想い、仲間たちの想い、安藤たちを支えてくれた『ポーラスター』の人々の想い。 そして、厳しい訓練を支えた、マスターと神姫の絆。 それらすべてが、この五三秒に結実していた。 安藤は、はじめて遠野に会ったときの、彼の言葉を思い出す。 「すべての要素が噛み合って、はじめて勝利を手にすることができる」 まったくその通りだった。 すべての要素が噛み合ったとき、まるで流れるように、思った通りに試合は進み、興奮が一気に沸き上がった。 だから、最後の一撃の時、思わず叫んでいた。 そして、試合が終わった今も、震えが止まらない。 アクセスポッドが軽い音を立てて開いた。 「マスター! わたし、勝ちました!」 すぐに、安藤の神姫が顔を出し、彼を見上げてそう言った。 花咲くような笑顔。 安藤はまだ回らない頭で言葉を探しながら、答えた。 「そう、そうだな……オルフェ、よくやった……」 口をつく言葉も震えている。 だが、言葉にしたことで、安藤の心の底から、ようやく溢れてくる気持ちがある。 それは歓喜だった。 開いていた両手を握りしめる。 安藤はオルフェを見つめ、笑いかけた。 「そうだよ、オルフェ、お前は……最高だ!」 「はい!」 興奮気味のマスターに、オルフェも表情いっぱい喜びを露わにした。 ◆ 「み、認めない……こんなバトル認めないぞ!」 放心していた蜂須が叫びだしたのは、筐体の表示が待機状態に戻ったころだった。 蜂須の怒鳴り声に、歓声が徐々に収まってゆく。 蜂須は顔を真っ赤にして、安藤に大声で文句を付けた。 「オレが、てめえみたいな初心者に負けるはずがねえ! 今のは練習だ! これから本番、もう一回勝負だっ!」 「ああん? 自分が負けたからって、何勝手こいてんだよ」 肩をすくめて応じたのは有紀だった。顔に呆れたような笑みを浮かべている。 「ふざけんな、今のは練習だったから、ちょっと油断して手ぇ抜いてたんだよ! そうじゃなきゃ、オレが負けるはずがねえだろ!」 「は、そんなの、油断してたお前が悪いんじゃねーか、明らかに」 「うるせえ! とにかく、今のバトルは無効だ! もう一度勝負しろ!」 「勝ったのに、もう一度バトルしてやる理由がねえだろ、バーカ」 「黙れ、デカ女! オレは安藤に言ってんだよ!」 蜂須が激しく睨みつけている。 安藤は静かに蜂須を見据えた。そしてはっきり言った。 「断る」 「なんだとぉ!? てめえ、練習試合で、しかもまぐれで勝っといて、勝ち逃げする気かよ!」 「するさ、勝ち逃げでも何でも。今のは練習じゃない、俺は真剣に戦った。まぐれだって勝ちは勝ちだ。もう二度と、あの条件でバトルする気はない」 「くそっ、卑怯者! だいたい、こっちがノーマル装備で戦ってやってるのに、お前は武装強化しやがって……どこまできたねえんだよ、てめえは!!」 その発言に、梨々香が肩をすくめて反論した。 「ノーマル装備で勝ったら、美緒ちゃんにやらしーことするって条件を出したの、そっちじゃない。それで喜んでノーマル装備でバトルしてたのに、相手を卑怯者呼ばわりはないんじゃない?」 すると、ギャラリーが一斉にブーイングをした。 その声があまりにも大きくて、安藤が驚いたほどだ。 ギャラリーはわかっている。卑怯なのは玉虫色の方だということを。 そもそも、彼をいけ好かないと思っている常連は多い。 今まで溜まった鬱憤が、ここで吹き出したのだ。 蜂須は戸惑いながらも、それでもなお食い下がろうとした。 「だ、だったら、今の勝ちは認めてやる。三本勝負にしてやるよ。先に二勝した方が勝ちだ!」 「負けたから三本勝負にするって……小学生じゃあるまいし」 心底呆れた表情で涼子が言う。 ブーイングはさらに強まった。 「うるさいうるさいっ! オレは三強だぞ!? このゲーセンで三本の指には入る強さなんだぞ!? こんな初心者のバカに負けたなんて認めるか!」 「……いい加減にしとけ、玉虫色の。もうお前は三強とは呼べん」 「な、なんだと……!?」 蜂須は驚いて、その声の主に顔を向けた。 ギャラリーの中に立っているその人物は、坊主頭で筋肉質の男だった。 彼は、蜂須と同じ『三強』の一人、『ヘルハウンド・ハウリング』のマスター・伊達正臣である。 「な、何言ってんだよ、ヘルハウンド……」 「初心者に油断して後れを取ったヤツに、三強を名乗る資格なんかない。しかも、女を弄ぶ権利を賭けてのハンデ戦なんて……バトルに対して誠意がないにもほどがある」 「あんなのはまぐれだ! ただのまぐれ、運が良かっただけだ!」 「本当にそう思ってるのか、玉虫色の」 「な、なんだよ……」 「あの戦い方を見て、なんとも思わなかったのか。 そこのアルトレーネ・タイプは、戦う前から作戦を立て、きっちり準備してお前とのバトルに望んだ。お前が実力差に溺れて、油断してくることも計算に入れて、な。 そのくらい、端から見てたってわかる。 初心者の彼の方が、よほどバトルに誠意があったぞ」 その言葉に、蜂須は激昂した。 「うるせえよ、ヘルハウンド、オレを裏切る気か!?」 「味方ができないような状況にしたのは、おまえ自身だ」 伊達は蜂須の言葉を静かに受け流した。 そして、淡々と言葉を続ける。 「最近じゃ、三強の株はガタ落ちだ。 『エトランゼ』とのバトルじゃ一方的に負け、『アーンヴァル・クイーン』には相手さえしてもらえず、虎実は俺たちを押しのけてランバト一位獲得……。 それで今日は、初心者に後れを取って敗北……三強という称号にとどめを刺したのはお前だ、玉虫色」 蜂須は愕然とした表情のまま言葉もない。 ギャラリーも、伊達の言葉に、静かに耳を傾けていた。 「今日限り、『三強』という称号をおしまいにする。俺はもう、そう呼ばれるのをやめる。今日からはただの『ヘルハウンド・ハウリング』だ。そしてもう一度ランバト一位を目指す。お前も一神姫プレイヤーに戻れ」 「冗談じゃねぇ! てめえ、勝手に決めんな……」 蜂須の声が尻すぼみになる。 彼の声をかき消して、ギャラリーから時ならぬ拍手が起こったからだ。 皆、ヘルハウンドの潔さを賞賛していた。 伊達はそのまま、蜂須に背を向けて、ギャラリーの中に消えた。 その隙間から、こちらを見て首を振り、やはり背を向けた男が見える。 もう一人の三強『ブラッディ・ワイバーン』のマスターだった。 蜂須は呆然とする。 彼も伊達と同意見と言うことだった。 「認めねぇ……」 蜂須はようやくに声を絞り出し、安藤たちを憎悪の視線で睨んだ。 「こんなの、俺は絶対に認めねぇぞ! ちくしょうっ! 覚えてろよ、てめえら……っ!!」 捨てぜりふを残し、蜂須はゲーセンから小走りに立ち去った。 あとに、彼のチームのメンバーたちが続く。 こうして、『ノーザンクロス』における、三強の体制が崩壊したのだった。 ◆ 「自分から三強やめるなんてな……遠野、ここまで予想してたのか?」 「まさか。……だが、俺たちの望んだとおりになった。結果オーライだ」 腕を組んで、遠野は静かにそう言った。 菜々子は隣でそっと微笑んでいる。 三人は視線をかわし、静かに笑った。 やがて、安藤がLAシスターズの四人と共に、こちらへとやってきた。 安藤と美緒は並んで遠野の前に立つ。 「遠野さん、ありがとうございました!」 二人は深々とお辞儀する。 二人の後ろでは、シスターズの三人もかしこまって礼をした。 安藤は遠野に心から感謝していた。彼の策がなければ、今頃本当にどうなっていたのか分からない。 だが、顔を上げた安藤に、遠野は手を振って言った。 「あー、お礼なんかいい。俺は大したことは何もしてないし」 「え……でも、遠野さんの策と訓練メニューがなければ……」 「あんなのは、偉そうに命令してただけだろ。礼を言うならむしろ、協力してくれた八重樫さんたちと、久住さん、大城にしてくれ」 ぶっきらぼうな口調に、安藤は困ってしまった。 後ろで吹き出す音がする。 涼子だった。 彼女は安藤に耳打ちするように、 「照れくさいのよ、師匠は」 と言った。 なるほど、明後日の方向に視線を投げているのは、実は照れ隠しなのか。 陸戦トリオにLAシスターズ、そして安藤が、ようやく緊張を緩め、誰もが笑っていた。 ようやく訪れた、穏やかな時間。 ふと、遠野がこんなことを言い出した。 「チームを作るか……」 その場にいた全員が、思わず遠野を凝視する。 実は以前から、菜々子や大城が「武装神姫のチームを組もう」と言っていた。 しかし、遠野はそれに乗らなかった。彼はバトルロンドで勝敗にこだわっていない。だからチームを組むメリットがない、現状維持で十分、というのがその理由だった。 ところが、遠野が自分から言い出したのだから、驚いて当然である。 「どうしたの、急に?」 「今回の件で、気が変わった。 ……どうも俺は、誰かの世話を焼くのに、自分が納得の行く理由が必要らしい。 チームメイトなら、理由には十分だろう?」 菜々子がと大城は、顔を見合わせ、同時に遠野を見た。 珍しく、優しい表情で皆を見渡している。 すると二人は、先を争うように、焦りながら遠野に尋ねた。 「それで、わたしは数に入ってる!?」 「俺は、俺はメンツに入れるんだろうな!?」 「……君らがいなくて、どうやってチーム作れって言うんだ、俺に」 遠野は不思議そうな顔をしてそう言った。 二人は喜びのあまりハイタッチなんかしている。 わけがわからない。 遠野にしてみれば、二人がいなければ最低限のチームにもならず、むしろ困る。 だが、自分のチームのメンバーになっても、大してメリットがない。これからはじめる弱小チームだ。 チームメイトになったところで、喜ばしいなどとは、到底思えないのだった。 ところが、二人よりも焦っている人物がいた。 遠野の一番弟子を自称する涼子は、胸ぐらを掴みあげかねないような勢いで詰め寄った。 「遠野さん、わたしは!? 私はチームに入れますか!?」 続いて、他の三人も遠野に詰め寄る。 「わたしも遠野さんのチームに入れてもらえませんか?」 「あたしは菜々子さんの一番弟子だから、当然入れてもらえますよね!?」 「わたしだけ仲間外れはなしです!」 美少女四人に詰め寄られ、遠野はどん引きしていた。 なんでそんな必死な顔して、俺のチームに入りたがるのか。 そんな疑問を払拭しきれなかったが、それでも遠野はこう言った。 「ああ……君らなら、断る理由がない」 四人は、きゃー、と喜びの声を上げた。 元からLAシスターズは誘う予定だったので、ある意味予定通りだったが、どうにも解せないといった表情で、遠野は首を傾げた。 当人は気が付いていないが、あの『ハイスピードバニー』がチームを組むと言って、メンバーがその名を知られた『エトランゼ』と、現ランキングバトル・チャンピオンだったら、このゲームセンターで注目を集めない方がおかしいというものである。 「で、俺から一つ、メンバーのみんなに提案があるんだけど」 ひとしきり騒ぎが収まったところで、遠野はみんなに向かってこう言った。 「このメンバーだと、チームで飛行能力を持つ神姫が圧倒的に不足してる。そこで、『三強』を倒した期待のルーキーをスカウトしようと思うんだが……どうかな?」 遠野はメンバーをぐるりと見回したあと、安藤に視線を投げた。 口元に笑みを浮かべてみせる。 メンバーは皆、笑って頷いていた。 ああ、そうか。 なぜ、美緒たち四人が、遠野のことを尊敬しているのか。 安藤はようやく分かった気がした。 ◆ 「俺は、武装神姫を続けるよ」 数日後。 すでに恒例と化した、屋上での昼食。 美緒が持ってきた手作りのお弁当を、満面の笑みで食べ尽くしたあと、安藤がそう言ったのである。 「チームに入るの?」 「うん。誘われたってのもあるけど……あの遠野さんに付いていきたいと思ったんだ。 それに、この間の対戦が忘れられない。……バトルロンドって、すごく面白いよな」 微笑みながら言う安藤は、いつもながら爽やかだ。 美緒はそんな彼をまぶしそうに見つめた。 ふと、思いついたことを口にする。 「でも、玉虫色との対戦……なんであんなに頑張ってくれたの?」 美緒が傍目に見ても、クインビーとの対戦までの一週間の訓練スケジュールはスパルタだった。 一週間でエトランゼの必殺技を受け止めようなんて、無謀すぎる。 しかし、遠野の提示した訓練メニューを、安藤とオルフェは忠実に、そして完璧に実行したのだった。 それは並大抵の努力ではない。 安藤は、少し口ごもるように、答えた。 「ああ、それはさ……好きな女の子守るためなら……やるよ」 「…………え?」 「俺、八重樫のこと好きだから」 彼女自身が予言したとおり。 美緒の視界の中で、天と地がひっくり返った。 「お、おい、八重樫! 大丈夫か!?」 美緒はあまりのことに卒倒した。 そして、美緒を抱き起こす安藤の視界の外。 盗聴していた数十人の女子は、一斉に卒倒していた。 ◆ 安藤智哉にとって、八重樫美緒は、理想の彼女像の塊だった。 安藤の姉・智美は、智哉にとってコンプレックスの対象である。 外ではカリスマモデルとして活躍する姉であるが、家では男勝りで乱暴、弟を顎で使う傍若無人な人物だ。 しかも、美人でスタイルもよく、頭もいいし運動もできる。そして、溢れ出るカリスマ性。 いつしか、智哉の嫌いな女性像は姉・智美になっていた。 彼女にするなら、大人しい女の子がいい。図書館で本を読むのが似合うような、知的な美人だ。 スタイルはいいに越したことはないが、姉のようなモデル体型の痩せぎすはごめんだった。健康的なスタイルの女の子がいい。 そして、性格は優しいのがいい。明るくて、気遣いができて、落ち着いた性格の女の子。 姉とは全く正反対。 そんな都合のいい女子がいるだろうか? いるはずがなかった。なにしろ、世の女性は皆、Tomomiのようになりたいと思い、ファッション雑誌を買うのだから。 だが、安藤は出会ってしまった。 高校入学の日、クラスメイトになった女の子。 八重樫美緒は、彼の理想のすべてを兼ね備えていた。 つまり、安藤は美緒に一目惚れだったのだ。 ◆ こうして、安藤を巡る闘争は終わりを告げた。 女子連は、戦う前から、美緒に敗れていたのだった。 戦いは、いつも、むなしい。 (少女と神姫と初恋と・おわり) Topに戻る>
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/278.html
「ジェネシスちゃん、大丈夫っ!?」 「な……なんとかっ。振り落とされないようにするだけで精一杯ですが」 音速を突破し、周囲には音もなく戦場を駆け抜ける二人。 二人が通り過ぎた空間には、直後凄まじいソニックブームが巻き起こり、周囲に配置されていた不運な敵機が吹き飛ばされていく。 それは時間にすればほんの一瞬なのだけれど、激しいGに耐える二人には一瞬とも永遠とも思える時間の流れ。 そして正面に、巨大な電波塔のような建造物が見えてくる。 周囲に敵は今のところ見当たらない、どうやら主力の大半は3~4エリア周辺に配置していたみたいだ。 「あれです! あそこから突入しますので」 「……了解っ。加速解除!……きゃぁっ!?」 ジェネシスを投下するため加速を緩めた途端、塔の根元より複数の強烈な閃光がねここに襲い掛かる。 急速回避して直撃は避けたけど……明らかに今までとは違う精度だ。 「今のは……あいつなのっ!」 「あれは……ネオボードバイザー・ガンシンガー!」 塔の根元に佇む巨大な人影。 それはジェネシスが使用するリボルケインの原型機、ソードダンサーの姉妹機であるガンシンガー。 そして、その巨大なアーマードモジュールの装着者となっていたのが…… 「エスト!?」 ねここの飼い方・劇場版 ~十一章~ 塔より全周波に渡って通信が流されてくる。 その声はそれなりに若い男の声だ。だが声質は歪み、他者を憎しみ蔑む様な雰囲気を滲み出させている。 『どうかね、正義の味方気取りの愚かな武装神姫ども。 その正義気取りにお答えして最高の舞台を用意して差し上げたよ。 友人を打ち倒して世界を守る、か。それとも倒され朽ち果て、我等の手先になるか。お前たちの運命はそれだけだ。』 塔の前に佇むエスト。……いや、今はガンシンガーと言うべきだろう。 彼女の全身はブリガンディモードになったガンシンガーと一体化していた。 「エストちゃん、どうしちゃったの!?」 思わず叫ぶねここ、だが彼女は一切の反応を示さない。その目に輝きは鳴く、ただ命令に従うだけの殺人マシーンのような虚ろな目。 『彼女は思った以上に頑強だったがね、我等の技術力を持ってすれば不可能ではなかったよ。フフフ……無益な抵抗だったな。 ……そして、今は我等の忠実な番犬だ。精々楽しく遊ぶ事だな』 「そんなっ!?」 『嗚呼、忘れる所だった。彼女ごと破壊しても一向に構わんが、その場合全データが修復不能、ついでに本体側も自壊するようしておいた、まぁ精々頑張りたまえ』 男が言い終わると同時にエクセルビームライフル“ロンゴミニアド”を構え、連続して狙撃をしてくるエスト。 『ねここ急速回避!』 「やってるけど、でもっ!」 再び再加速を掛け火線から逃れる。しかしその射撃は正確かつ高出力で、直撃こそないけれど各部装甲がチリチリと悲鳴を上げ始めている。 それに、しがみ付いているだけのジェネシスへの負担が大きい。 『ねここはエストちゃんの相手を! ジェネシスはこのまま突入してください、急いで!』 「しかし、ねここだけではっ!」 「行って! ……何時までも背中に乗られてると……足手まといなのっ!」 ねここはそう断言。でもその目からはポロポロと涙が溢れ流れて…… 「わかりました……マスター、リボルケインを!」 『おぅ! やっちまえジェネシスっ』 シューティングスターよりダイブ、自由落下していくジェネシス。 やがて、彼方から飛来した戦闘機にタイミングをあわせ絶妙に着地。 「モードブリガンディ!」 ジェネシスが鋭く叫ぶ。同時にリボルケインが展開、ジェネシスを包み込むようにして装着。 白銀の帝王、爆誕! 『続いて行くぞ!』 「了解です……ツゥゥゥゥゥル!!コネクトォォォォォォ!!!」 リボルケインに続き彼方から飛来したマイナスドライバーを、天高く掲げた右腕に装備! 「ディバイディング!!ドライバァァァ!!!」 そのまま勢いを殺すことなく、いやそれどころか推力を全開にして塔の基部に特攻をかけるジェネシス。 「…若い…」 だがその突入位置を容易に予測したエストがチャージングチューブを接続したロンゴミニアドを構え、最大出力でジェネシスを撃ち砕かんと待ち構えていた。 特攻してくるジェネシスを悠々と待ち受け、その破壊の槍で粉砕せんとするエスト。 『ねここ!』 「そんなこと、させないのっ!」 ジェネシスを撃ち抜かんとするため、ねここへの砲撃は止まっていた。砲撃が停止した瞬間ねここは艦首を翻し、主砲のローエングリンを放つ。 目標はロンゴミニアド。だけど旋回中に発射したビームは目標を外れ、エストの足元へ着弾。 「死ね」 「おりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」 フル出力の一撃は直撃コースを外れ、虚しいエネルギーの浪費と終わる。地面を抉ったビームはエストの足場を切り崩し、それが運良く照準を狂わせたのだ。その隙にジェネシスは電脳空間を切り裂き、中心部へとダイブを敢行する。 『ち、追えエスト……Gを八つ裂きにしてしまえ』 「は……」 まだ開いたままのゲートへ突入せんとするエスト。だが、その寸前、側面からの一撃にエストは大きく吹き飛ばされる。 ねここが加速をかけて体当たりをかけたのだ。シューティングスターの推力に物を云わせた強引で強烈な突進。 そのままゲートの前に立ちはだかり、ファイティングポーズを取る。 やがて吹き飛ばされたエストもゆっくりと立ち上がる。重装甲で全身を覆ったエストにダメージは感じられない。 出力と装甲が違いすぎる。だけど…… 「絶対に……ここは通さないんだからっ!」 『どうだジェネシス、中核反応はあったか?』 「はい……キャッチしました。あと50」 一方ジェネシスは制御プログラムの階層まで潜り込んでいた。 やがて彼女の前に姿を現す、空中に浮かぶ巨大な金属球。神姫よりもそのサイズは遥かに大きい。 「……あれですね、一気に行きます!」 ジェネシスが全身に内装された砲門を展開する。Gのキャノンが、両腕のビームユニットが、腰のヴェスバーが。 そして周囲には残存していたドラグーンが。全砲門が目標である金属球へと照準を合わせられる。 その時、金属球に赤いラインが浮かびあがる。それは金属球に目の様な模様を書き上げ、同時に内部より何本かの細長い円柱状のフレキシブルアームがせり出してくる。 「な!?」 ジェネシスがその変化にひるんだ瞬間、アームの先端より放たれる多数のリングレーザー。 ブリガンディモードでは小回りに欠けるため、大きく回避半径を取らざるを得ない。攻撃態勢を解除してスラスターで回避行動を取る。 更に追撃のつもりか、目に相当する部分から極太の拡散レーザーを発射。 ジェネシスはリボルケインを巡航形態にチェンジさせて一旦後退、間合いを取る。 『……ありゃタングラムか。自衛プログラムとして、HOSの暴走起動用プログラムに融合させてやがる』 「逆に言えば、アレにワクチンを撃ち込めばこの事態を収拾出来るわけですね」 『そうなるな……よし、全力でぶちかましてやれ!』 「はいっ! モードブリガンディ!」 全推進系を全開にし、超高速で突撃。咆哮と共に再び鎧を纏い、悪を断つ剣と共にタングラムへと突き抜けてゆく。 それを迎撃するように、タングラムの目からは極太の収束レーザーが射出される。だがそれをエクスカリバーで歪め切り裂きながら突撃するジェネシス、そして。 「必殺!リボルクラッシュ!」 雷光一閃! 彼女の鮮やかな一撃は、巨大なタングラムを完全に真っ二つに分断させた。そのままデータの藻屑となって崩壊していくかに見えたタングラム。 だが… 「そんな、復活した!?」 ジェネシスの叫びが木霊する。一瞬崩壊していくかに見えたタングラムは損傷部分を修復、直ぐに元の状態へと復元を果たしてしまった。 「アイツは無敵なんですかマスター!?」 『ちょっと待て、今のでデータが取れた。……何処からか修復プログラムが流入して復元されたらしいな。流入元はこの近辺じゃない……ルート検索。……いた。補修プログラムを持ってるのは…ガンシンガー!』 『……という訳で、アイツを倒さないとワクチンが投与出来ないみたい。ねここ……お願いっ』 『しかも厄介な事に同時にだ、片方だけ破壊しても互いに補完しあうらしくってな。ジェネシスの方は準備万端……あとは其方次第だ』 「な……なんとかやってみるのっ!」 そうは答えてくれるものの、戦況は悪い。 元々ネオボードバイザーと武装神姫では出力と装甲に雲泥の差がある。 出力に物を云わせ総計5門のビーム砲を連射、尚且つエストの高い処理能力によってその射線は正確無比。 ねここもイリュージョンシステムで撹乱を行うものの、砲撃ではエスト諸共吹き飛ばしかねないので迂闊に攻撃が出来ない。 『何か手段があるはず……何か』 ガンシンガーのデータを手元のコンソールに呼び出し、機体特性を調べ上げる。 変形システムを搭載してる機体は大抵の場合各種機構が複雑になり、脆い部分が存在しやすくなる。その辺りに突破口がないだろうか。 だがこの機体は全身に渡ってフレームが走ってる上に、素体と合体することにより負荷の分散を図ってる。 太腿部分は露出してる。しかしエストに一部でも傷を付けた場合どんな悪影響が出るかわからないので、迂闊に脚部を切断するわけにも…… アーマーの配置状況はどうだろう。脚部、腕部…胸部、これなら…いけるかもっ。 『ねここ、今から送る戦術を試してっ!』 「あいあいさー☆」 ねここにも私の気持ちが伝わったのか、急に陽気な声になる。 シューティングスターを背負ったまま、軽やかに幻惑のダンスを踊る。背中に重量級の物体を背負っているとは思えない身軽さ。 ガンシンガーの周囲に出現し続ける無数のねここ。それに対して全身の火器で片っ端から撃ち落してゆくガンシンガー。 だけど全て素通り、ホログラフが虚しく拡散するだけ。何故ならねここは…… 「こっちだよっ!」 遥か上空、相手の真上から急降下を掛ける! 同時に両舷のローエングリン砲口部からビーム刃を展開。それはライフルの全長に匹敵し、サーベルというより長大な騎兵槍とでも言うべきシロモノ。 中世の騎兵のように、いや其れとは桁違いのスピードを以って空間を駆け抜ける流星。 『馬鹿め、一撃で撃ち落してやれエスト!……どうした、おぃ! 早くしろ!』 それは偶然、いや彼女の意思の力による必然か。ほんの僅かに、だけど確実に動きの鈍るガンシンガー。 「……せ……ぃ、さ…せませんっ!」 うっすらと瞳に生気の戻ったエスト。だけど彼女は覚悟を決めた様に瞳を閉じ 「私……もろとも……」 閃光となって迫ってくるねここ対し遺言のように呟く。 「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 ずぶりという音がしそうな程、易々とガンシンガーの左右胸部上面に深く突き刺さるビームランサー。 それはガンシンガーの装甲部分のみを貫く様に…… 唯一の支えが外れ、剥がれ落ちる胸部装甲。同時に装甲の支えを失ったエストの身体もグラリと崩れ落ち始め……そこを両腕でキャッチ、そのままガンシンガー本体より引き抜いて一気に離脱するねここ。 ガンシンガーの胸部装甲はポンチョのように上から被せる方式、だから上面装甲を切り離せばそのまま引き抜けると思ったのだ。それは大成功。 そして急旋回し、抜け殻だけになったガンシンガーへ再び槍先を向ける。 『ねここ、フィニッシュ!』 「了解なのっ、ねここブースタァー!!!」 最大加速して正面から突っ込む! ガンシンガーからは無数のビームが放たれるものの、先ほどまでの正確無比な射撃とは無縁の素人以下の乱射程度だ。 激突寸前、自らを切り離し急速離脱するねここ。 先程までねここがいた場所には、背部に装着されていた旋牙が前方配置され唸りを上げて回転している! 「ゴー!!!」 『なんだとぉぉぉぉぉぉ!?だからドリルは取れと言ったのだぁぁぁ!!!』 ガンシンガーの各部に深く食い込み、抉り、そして突き抜けるシューティングスター。さしもの重装甲も全推力を背に受けた旋牙とビームランサーの破壊力には無力だった。 そして突き抜けたシューティングスターが旋回、そのまま天頂から最早残骸となったガンシンガーへと最後の突撃を掛ける。 修復される可能性がある限り完璧に破壊しなければいけない。 「……ごめんねっ!」 同時刻 ウイング内に仕込まれたGのキャノン、両腕のビームユニット、腰のヴェスバー。そして周囲のドラグーン。 全砲門を、既に戦闘力を無力化させ瀕死のタングラムへと向け、射撃体勢を取っていたGが咆哮する! 「この力……今こそ解放の時!」 二つの場所で同時に発生する閃光、それはこの戦いの終焉の鐘を鳴らすかのよう…… ~終局~ 「ホストコンピュータ、完全に乗っ取られました! 制御…不能!」 「電源落ちません! 主動力室ごと止めないと無理ですっ」 制御室にオペレーターたちの報告、いや悲鳴が響き渡る。無益と知りつつも全力で対処しようとする人々。 やがて、ドサリと背後で何かが崩れる音がする。 「そんな……馬鹿な……」 つい先程まで絶対の自信を漲らせ指揮を執り続けていた、彼らのリーダー格の男。 ソレが椅子に崩れ落ちたのだ。 「脱出しましょう教授! 乗っ取りによってこちらの場所が判明したとしても確保した足止め用の神姫どもがいます。ヤツらを盾にすれば十分時間は稼げます。今のうちに……」 傍らにいた若い男がそう助言する、だが…… 「残念でしたね、皆々様♪」 後背のドアが突然無礼に開き、逆光と共に一人の少女が現れる。 「な…貴様何処から!? いやそれ以前に警備は何をしている!?」 責任を擦り付けたいのだろうか、誰に向かってかも判らない怒号で叫ぶ男。 「何処って……此処のドアからに決まってますでしょう。それと、暴走神姫たちも残さず返して頂きましたよ」 挑発的な瞳で切り返す少女。 「そんな筈はあるか! 何百いたと思ってるんだ!? おい、やっちまぇ!」 傍らで立ち尽していた警備用のアムドライバーに命令、いや嗾ける。 彼らには対人攻撃防止プログラムはない、少女を有機物の塊にせんと一斉に飛び掛ってゆく。 「ふん、遅いね」 次の瞬間、間接部を綺麗に切り裂かれボトボトと床に落下していくアムドライバーたち。 少女の前に、天使と見紛うばかりの-翼-シルエットを持った武装神姫が浮遊していた。 「ありがとマルコ。助かるわ」 「何言ってるんです、わざわざ挑発なんかして。万が一だってあるですからね」 まるでピクニックにでも行くような調子で会話をする二人。 その隙に反対側のドアから脱出しようと、何人かの男が慌てふためきながらも駆け出す。 「全員動くな!」 発砲音の後、反対側のドアが倒れる。誰かがドアの接合部分をショットガンのような物で破壊したのだ。無論その誰かはすぐ判明する。 倒れたドアの向こうには今しがた拘束命令を飛ばしたアーンヴァル型の神姫と、数十体に及ぶヴァッフェバニー型が銃器を構えて殺到していた。 驚き倒れた男の一人が、混乱しつつも懐から拳銃を取り出し神姫を撃ち抜こうとする。 だがそれは無益だった。銃を突きつけた時点で銃身がドロドロに誘拐してしまったのだ。 それはアーンヴァルが放ったレーザーライフルの一撃。彼女らもまた対人用として殺傷力のある武装を装備していたのだ。 「それ以上抵抗すると……痛い目みますよ?」 敗北を悟る男たち。全員が力なくその場へと項垂れた。 「あれ……私何やってるんだっけ」 「ボクなんでこんな格好してるんだろ?」 ワクチンの効果は直ぐに現れ始めていた。 それまで暴走し、獲物を求め彷徨っていた神姫は次々に正気に戻っていく。 満身創痍の十兵衛とリン。 それを延々と包囲し続けていたホイホイ軍団も、乗っ取り成功により消滅。 二人の目の前でキラキラとポリゴン粒子に変換され消えてゆく。 「……勝利……か…」 「みたいです…ね。つ…つかれましたぁ」 へにょりと背中合わせでその場にへたり込む二人。でもその表情は達成感に満ち溢れていて。 「終わったみたいですね、よかった……二人は無事でしょうか」 気の抜けた表情で溜息混じりに呟く雪乃。 「大丈夫ですよ。貴方が信じてあげなくてどうするんです」 今度は自分の番だな、と雪乃を励ましにかかるココ。 「そうですね……」 「おーぃ、ユキにゃ~ん♪ ココちゃ~ぁん☆」 彼方から聞こえるねここの声。 二人が声の方を見合わせる。そこには夕日をバックにジェネシスのリボルケインに乗り彼女たちの下へやってくる、ねここ、ジェニー、エストの姿が。 「ねここーっ♪」 思わず手を振りながら飛び出してゆく雪乃。 「ユキにゃんっ☆」 嬉しさのあまり、リボルケインから思わず飛び降りダイブ! 「わ…っ、よ・・・っと。……ふぅ、危ないですよねここ」 「ユキにゃん、ナイスキャッチなの☆」 「……おかえりなさい、ねここ」 「うんっ、ただいまっ♪」 そこには何時もの、見る者全てを幸せな気持ちにさせてくれる、満面の笑みを溢すねここがいたのでした。 Fin~ 続く
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2299.html
キズナのキセキ ACT1-4「敗北の記憶 その2」 ◆ その日、菜々子は、C駅にほど近いゲームセンターで噂を聞いた。 C港の倉庫街の一角、使用されていない倉庫を改装し、武装神姫の裏バトルが行われる。 主催は、神姫にハマっている、若手の不良グループだ。 菜々子はその裏バトルに誘われたのだ。 菜々子とミスティが『エトランゼ』として名前を売りながら、公式試合に一切関わらないのは、こうして裏バトルの情報を得るためだった。 裏バトルも、主催者にしてみれば興行だから、名の売れた神姫に出場してもらえれば、話題が取れる。 出場選手も、観客も増える。 だが、公式戦出場神姫で有名になればなるほど、そういう危ない場所には近づかない。 裏バトルには、犯罪が絡んでいる場合が多いのだ。 罪を犯せば、公式戦のランキングは剥奪されてしまう。 だから、公式戦に出ない有名な神姫は、裏バトルのスカウトとしては格好の標的だった。 そう、菜々子のように。 「あんた、強ぇ神姫と戦いたいんだろ? だったら来いよ、他にも強者がたくさん参戦予定だ」 「へえ、どんな神姫が来るの?」 裏バトルの主催の一人だと名乗ったヤンキー風の男に、菜々子は首を傾げてみせる。 男は得意げに、指折り数えて神姫の名前を挙げた。 「そうだな……『フレイム・エッジ』とか、『百目の天使』とか……」 「『狂乱の聖女』は出る?」 「ん? ああ……よく知ってるな。そいつはメインイベンターさ」 ビンゴ。 久々の確定情報だった。 「なんだ? 『狂乱の聖女』とバトルしてぇのか?」 「まあ、ね。噂に聞くところでは、強いって話だし?」 「あいつは別格だよ。強いなんてもんじゃねぇ。 ……でも悪いな。あいつはもう相手が決まってるんだ。 『狂乱の聖女』を目の敵にしてる奴だから、代わってはもらえないだろうしなあ」 『狂乱の聖女』に戦いを挑む者は多い。 裏バトルでのネームバリューとしては、知る人ぞ知る、という程度だ。 しかし、その圧倒的な強さを制して名を挙げようとする者は後を絶たない。 また、個人的な恨みも多数買っている。 どうも、次の対戦相手は後者のようだ。 「だから、とりあえず次は、別の対戦相手を用意するぜ。他にも強えのはたくさんいる」 「ごめんなさい。今は『狂乱の聖女』しか興味ないの」 菜々子はそう言って、にっこり笑った。 とりあえず、次回の裏バトルは観戦しに行くことを約束した。 ヤンキー風の男は、それでも今日のところは引き下がった。 裏バトル会場に『エトランゼ』を連れてきただけでも、彼の評価は上がるだろう。 だが、菜々子は、裏バトルに出場する気はまったくなかった。 ◆ 土曜日の夜は長い。 翌日は日曜日という安心感で、どこの繁華街も夜遅くまで盛り上がる。 表通りはもちろんのこと、裏通りの飲み屋やゲームセンター、路地裏の屋台、さらに裏の賭博場まで。 ここ、C港の倉庫にある裏バトル会場も例外ではなかった。 外は寒々とした倉庫街の一角で、週末の夜など人も車も滅多に通らない。 そんな外の様子とは裏腹に、武装神姫の裏バトル会場になっている倉庫の中は、異様な熱気に包まれていた。 ここの裏バトルは、仕切が若い連中のためか、セキュリティよりも盛り上がり重視、といった感じだった。 集客も多い。客層も、学生風の若者から、マニアっぽい年輩組まで、意外に幅広い。 裏バトルは警察の目をおそれて、秘匿性を高めるため、多くの場合、限られた会員のみ招待される方式を取る。 だが、菜々子がみたところ、ここでは客の出入りもそう厳しくない。会員の友人であれば入れるような有様だ。 使われていない倉庫は、急造のバトルロンド会場になっていた。 ただ、神姫センターなどと違い、バトルロンドの対戦筐体は一組だけ。 正面には大きなスクリーンが設置され、プロジェクターでバトルの様子を映し出している。 そのスクリーンが見えるように、観客席が配置されている。 廃品のソファやテーブルが雑多に並べられただけの粗末なものだが、観客たちは気にしていない。 酒やジャンクフードが運び込まれ、客に振る舞われる。 この飲食代も、主催の収入源だ。 客は次々と行われるバトルをネタに、賭に興じている。 ルールは至ってシンプル。 どちらが勝つか。 プロジェクターには、賭けの始まっている試合の対戦カードが表示されている。 それぞれの試合に賭け率が設定され、客は思い思いにギャンブルに興じている。 バトルが映し出されると、歓声がわっ、と沸く。 人気の高い神姫なら、さらに盛り上がる。 人気の高さは勝率の高さに比例する。それがどんな武装、どんな戦い方をしていようとも、勝負に強い方が好まれる。 裏バトルで「魅せる戦い」など意味がない。 どちらが勝つか。 裏バトルのバトルロンドでは、それだけがルールだ。 武装も改造も無制限のレギュレーションなし。 バトル自体はバーチャルだが、過激なバトル展開になる。 公式戦ではないゲームセンターでの草バトルでも、ジャッジAIが判定を下した時点で試合は終了となる。 しかし、裏バトルはそうではない。 たとえ明らかに勝敗が決まっていても、試合は終わらない。 神姫が完全に機能を停止するところまでやる。 ジャッジAIも改造されていて、そうなるまでやめない。 神姫が負けを認めても、泣き叫んでも、試合は終わらないのだ。 そんなことをすれば、たとえバーチャルバトルでも、神姫のAIに障害を残すこともある。 そんな残虐性も、裏バトルに観客が集まる理由の一つだ。 時には、客の要望で、リアルバトルも行われる。 もちろん、どちらかが破壊されるまで終わらない。 神姫の断末魔の叫びに、ギャラリーは気違いじみた熱狂ぶりを見せる。 公式戦では絶対に見られない残虐ショー。 神姫がかわいそうだ、などと思う者はいない。 出場する神姫マスターからしてそうなのだ。 神姫の気持ちを省みることなどない。 ただ勝つために、無理な改造を神姫に施したり、壊れれば躊躇なく廃棄する。 そんな裏バトルの性質に、菜々子は憎悪すら抱いていた。 ここに集まる者は、みんな人間の屑だ。 神姫の「心」を尊重することのない、下衆の集まりだ。 近寄ることすら汚らわしい。 だが、その裏バトルに君臨するのが、本当の姉のように敬愛した女性なのだ。 菜々子は不安を感じずにはいられない。 あおいお姉さまは、そんな神姫マスターではなかったはずだ。 菜々子に神姫マスターのなんたるかを教えてくれたのは、他ならぬ桐島あおいなのだ。 一体何が彼女を変えてしまったのだろう。 そんなことを考えながら、菜々子は、裏バトル会場の隅で隠れるように、ステージの方を見ていた。 これからメインイベント、今夜もっとも注目の試合が始まろうとしている。 スカウトの男の話によれば、ここで『狂乱の聖女』が出場する、とのことなのだが。 やがて、二人の神姫マスターが、筐体の前に姿を現した。 片方は、坊主頭で目つきの悪いヤンキー風の男。試合前からエキサイトしている様子だ。 その反対側から。 その女性は風のように、ふわり、とやって来た。 淡い色のコートに、ベレー帽。 かすかに浮かぶ微笑は、相手の興奮など気にも留めてもいない様子だ。 間違いない。あの人は…… 「お姉さま……」 菜々子は口の中だけで、呟く。 久々に見る桐島あおいは、記憶の彼女と大きく違わなかった。 前回見たのは半年以上前だ。 そのときも裏バトル会場で、そのときも今日のように隠れて見ていた。 相変わらずの美貌に、菜々子は思わず見とれてしまいそうになる。 だが、首を振り、甘い憧憬を振り払う。 真剣な眼差しで、ステージを見た。 ステージ上では、相手のヤンキーが、マイクに唾を飛ばしながらあおいを罵っていた。 以前、別の裏バトルで、仲間ともども徹底的に叩きのめされたらしい。 それが原因で、仲間たちも武装神姫から離れ、彼一人になったという。 「だが今日は負けねぇ! 仲間の弔い合戦だ! けちょんけちょんにしてやる!」 男の恫喝じみた吠え声を、あおいはさらりと受け流した。 「……いいたいことはバトルで語ってくれる?」 余裕の言葉に、相手は顔を真っ赤にして、さらにヒートアップした。 あんなにオーバーヒート気味の様子では、勝てる試合も勝てないのではないか、と菜々子は思う。 対照的な二人は筐体の前に座り、ほどなくバトルが始まった。 それは、圧倒的としかいいようのない試合だった。 『狂乱の聖女』にかすり傷すら負わせることができず、相手の神姫は完膚なきまでに破壊され、敗北した。 ギャラリーはしばらく沈黙に支配された。 あまりに一方的な破壊劇。 背筋が寒くなるような勝利。 だが、数瞬後には、歓声が溢れた。 賭けに勝った客は喜びに叫び、負けた客はチケットを投げ捨てながら悪態に叫ぶ。 チケットが、まるで花吹雪のように舞い散っている。 ステージ上では、桐島あおいが変わらぬ微笑みを浮かべている。 その微笑が、菜々子には作り物めいて見えた。 喧噪の中、菜々子はそっとその場を離れた。 誰にも気付かれぬように。 菜々子の戦いは、これから始まるのだ。 ◆ 長い土曜の夜も、まだ宵の口である。 裏バトル会場では、まだ対戦が続き、盛り上がっていたが、桐島あおいは一人、外に出た。 アタッシュケースを左手に下げている。 雪が降り始めていた。 あおいはコートの襟を立て、路地をゆっくりと歩き出す。 あたりは冷たい夜闇だが、街灯のおかげで歩くのに難儀するほどではない。 その街灯の下。 人影が一つ、現れた。 あおいはその人影を認め、顔を綻ばせる。 「菜々子……久しぶりね」 「お姉さま……」 突然の再会に、あおいは驚いた様子もない。 あおいの表情とは対照的に、菜々子の顔には緊張がにじんでいる。 「わたしと会う決心、やっとついた?」 「……え?」 「この前は、半年くらい前……だったかしら? 確か、S県の裏バトル会場にいたわね」 「気付いて……いたんですか」 「ええ……もちろん、あなたが今なんて呼ばれているかも聞いているわ。 放浪の神姫『エトランゼ』……強くなったのね、菜々子」 穏やかな彼女の口調に、菜々子は闘志を奪われそうになる。 変わっていない。 三年前、決別する前のお姉さまと。 「それで……わたしに何の用?」 「何の用、って……」 むしろそんなことを言い出すお姉さまの方がおかしいと思う。 わたしがお姉さまに望む事なんて、一つしかない。 「……裏バトルなんてやめて、戻ってきてください。昔のように、みんなでバトルロンドを楽しめば……いいじゃないですか」 「それは、無理ね」 「なぜ」 「わたしにはわたしの目的があるのよ」 「……それは、仲間たちを捨てても……しなくてはならないことですか」 「ええ」 あおいが迷いなく頷いたことが、菜々子には少なからずショックだった。 会って話せば、戻ってきてくれるかも知れない。 心のどこかで、そう思っていた。 だが、そんな淡い希望はあっけなく打ち砕かれた。 「……目的って、なんですか?」 「……あなたに言う必要はないけれど……そう、あなたがわたしに勝てたら……わたしとマグダレーナに勝てたら、教えてあげるわ」 言い終えるのと同時、あおいのアタッシュケースが音を立てて開く。 九〇度開いた位置で止まる。武装神姫収納用のアタッシュケースは、皆そのようにできている。 そのアタッシュケースの中から、立ち上がったもの。 異形の神姫。 マグダレーナ。 この神姫を見るたびに、菜々子は何とも言えない不快感に襲われる。 そのせいなのか、今の菜々子はマグダレーナの詳細な姿をよく覚えていない。記憶の中のマグダレーナはいつもシルエットだ。 菜々子もアタッシュケースを開いた。 その中から、フル装備のミスティが現れた。 「あれが、マグダレーナ……」 裏バトルでの戦いぶりは見ていたが、対峙するのは初めてだ。 桐島あおいの神姫にして、久住菜々子の仇敵。 先代ミスティの、仇。 ミスティが腕を磨いてきたのは、こいつを倒すためだ。 彼女のCSCに、激しい闘争心が宿る。憎悪なのではないか、と電子頭脳が迷うほど燃えさかる。 全身を駆けめぐる電気信号の温度が上がったような気がする。 対するマグダレーナは、黄金色の瞳をくゆらせて、かすかな微笑みとともに、ミスティをにらんでいた。 「くくっ……『狂乱の聖女』と『エトランゼ』の一戦をこんなところでやるなんて……裏バトルのフィクサーが聞いたら、泣くぞ」 初めて聞くマグダレーナの声は、ひどくしわがれていた。 持ち前の気の強さで、ミスティはマグダレーナに言い放つ。 「そんなことこそ、どうでもいいわ。あんたとわたしの一戦はどんなところでやろうと同じことなんだから」 「……その元気が、最後まで続けばいいが、な」 不気味に笑うマグダレーナ ミスティは無言で、異形の神姫を睨みつけた。 「目的なんてどうでもいいんです」 「え?」 「わたしはお姉さまを迎えに来たんです。 その神姫を倒し、あなたに勝ったら……戻ってきてください。 わたしたちの元へ」 「……勝てたら、ね」 その一言が、開戦の合図だった。 二人のマスターは同時に動いた。 「マグダレーナッ!」 あおいの指示で、異形の神姫は中空に飛び出す。 そして、 「ミスティ、リアルモード起動! 入力コード“Icedoll”、タイプ・ビーストッ!!」 「おおおおおおぉぉぉっ!!」 菜々子の叫びと共に、ミスティは獣と化して駆け出す。 トライク・モードの走りではなく、四足獣のそれだ。 今のミスティは、獲物に一直線に襲いかかる野獣そのもの。 猛りながら、マグダレーナを襲う。 あのティアでさえかわしきれなかった、怒濤の攻め。 それがリアルモード・タイプ・ビーストの特徴だった。 背中にマウントされた二丁のアサルト・カービンが火を噴く。 牽制の射撃であるが、はずそうなどとは思っていない。 マグダレーナはひらひらと舞うようにかわした。 あの超重の装備を背負いながら、よくもあんな動きができるものだ。 菜々子は感心する。 だが、マグダレーナはその装備のせいで、速度はそれほどでもない。 今の射撃で、さらに足は遅くなった。 ならば逃さない。 ミスティはひときわ強く地を蹴ると、低い姿勢のまま、マグダレーナに飛びかかった。 アサルト・カービンを乱射しつつ、着地直前に右のエアロチャクラムで薙ぎ、着地と同時、左の副腕で払う。 ミスティのエアロチャクラムは、ノーマルのイーダ型と違い、サブアームとして独立して動かす改造が施されている。 さらに攻める。 左右の副腕を振り回す。 そして、自身が握る剣・エアロ・ヴァジュラを袈裟懸けに振り下ろす。 息つく間もない怒濤の連係攻撃。 しかし。 「そ……んな……」 菜々子はかすれた声しか出すことができなかった。 攻撃のことごとくを、マグダレーナは捌いてみせたのだ。 ありえない。 タイプ・ビーストは、イーダのミスティが独自で身につけた戦闘方法だ。 先代ミスティの戦い方をベースにしたタイプ・デビルであれば、あおいに悟られたかも知れない。 だが、このミスティの攻撃をあおいは知らないはずだった。 なのに、なぜ触れることさえできない!? 「ふはははは……見えているのだよ、わたしには……貴様の、一挙手一投足がな……!」 マグダレーナの嘲笑。 そんなはずはない。 あのハイスピードバニー・ティアでさえ、タイプ・ビーストの攻撃を凌げなかったというのに! 菜々子の驚愕を知らず、ミスティは攻撃の手を緩めない。 「このおおおおおぉぉ!!」 ミスティがさらに踏み込もうとした、その時。 ついに、マグダレーナが動いた。 装着されたバックパックには、サブアームを思わせる、巨大な二つの塊がある。 それが砲身となって持ち上がり、ミスティに狙いを定めた。 それでもミスティは止まらない。 地を蹴り、マグダレーナへと突進していく。 マグダレーナの砲が火を噴いた。 連続的な炸薬音とともに、弾丸が次々と撃ち出されてくる。 その狙いは正確無比。 ミスティの背部にあったアサルト・カービンが吹き飛んだ。 ミスティがエアロチャクラムを交差したとき、身体の中央に攻撃が来た。 装甲が細かな断片となって、千切れてゆく。 それでもなお、ミスティは駆ける。 右の足首が、地を蹴ろうとした瞬間に消し飛んだ。 「うあああっ!」 バランスを崩した体勢を立て直そうと左脚を踏ん張ろうとしたが、できなかった。 太股の付け根、脚部強化パーツ『サバーカ』の装着部分で弾丸が炸裂し、ミスティとサバーカを引き離していた。 ミスティは、サブアームを地に着き、ホイールを回転させる。 トライク・モードへ変形しようとした、その時、 「しつこい奴だ」 かすれた声が聞こえた瞬間、銃口から、一直線に弾が来た。 ミスティの左眼にめがけて。 頭への強烈な衝撃で、ミスティの上半身が跳ね上げられる。 さらに続く攻撃は、イーダ型ならば誰もが自慢にしている巻き毛を、ごっそりと奪い去った。 自律防御プログラムが働き、サブアーム化したエアロ・チャクラムが、ミスティ本体を掻き抱くような姿勢で防御する。 しかし、先の防御で千切れ飛んでいた装甲は、もはや役に立たない。 エアロ・チャクラムの本体に断続的に着弾、粉砕していく。 ついにはサブアームの付け根まで破壊され、ついに両副腕は地に落ちた。 が、その瞬間。 ミスティはのけぞった身体を元に戻すと、陥没し、オイルが滴る左眼で、マグダレーナを一直線に睨みつける。 ま ミスティの残った瞳は、マグダレーナへの敵愾心に燃えていた。 「やめて、ミスティッ!!」 菜々子の声も、ミスティには届かない。 そう、ミスティには止まれぬ理由がある。 破砕した右足首を、折れよとばかりに地に突き立て、片脚だけで、跳ねた。 マグダレーナまでは一足飛びの距離。 「おおおおぉぉっ!!」 吠える。 そして、刀を振り下ろそうとする。 マグダレーナに向けて。 それよりも早く。 マグダレーナが手にした槍が、神速で弧を描き、ミスティの両腕を薙いだ。 ミスティの剣は、マグダレーナに届くことなく、腕と共に宙を舞った。 そして、ミスティが着地するより早く、返した槍で、ミスティの身体を斜めに斬り捨てる。 宙でのけぞったミスティ。 時が止まる。 無音。 ……やがて聞こえてきたのは、ミスティが地に伏す音だった。 ◆ 「……復讐を気取ったところで、所詮はこの程度……マグダラ・システムある限り、我々に敵はない……」 もはや動くことすらできず、地面に転がったままのミスティに、マグダレーナは槍を構えた。 「二度と我が前に立てぬようにしてやる……死ね」 ミスティに狙いを定めたとき、何か大きなものが滑り込んできて、マグダレーナの視界を遮った。 菜々子だった。 彼女は地面にうずくまるようにして、ミスティの身体を覆い隠した。 その身体が震えているのは、寒さのせいだけではないだろう。 しかし、マグダレーナは、そんなミスティのマスターさえも冷ややかに見据えた。 「ふん……神姫と運命を共にするのが所望か……ならば望み通りにしてくれよう」 マグダレーナは、背面にマウントされた銃火器と、手にした槍を構える。 その動作にためらいは微塵も感じられなかった。 マグダレーナの放つ殺気が最大に張りつめたその時、 「そこまででいいでしょう、マグダレーナ」 桐島あおいの声に、マグダレーナは振り向いた。 不満そうな表情が貼り付いている。 「……甘いことだな……。ここで復讐の根を絶たねば、いつまでもまとわりつかれることになりかねん」 「無用な殺生をするべきではないわ。それで警察に目を付けられたりしては、動きにくくなる。目的が達せられるまで、あと少しなのでしょう。立場を不利にしないで」 マグダレーナは菜々子を一瞥する。 今の会話が聞こえているのかいないのか、菜々子はうずくまったまま、身動きすらしない。 これが先ほど果敢にも我々に挑んできた神姫マスターのなれの果てかと思うと、マグダレーナは憐れみすら覚えた。 確かに、こんな哀れな娘と瀕死の神姫を殺したところで、自分たちが不利になる状況を生むだけだ。 マグダレーナは、ゆっくりと構えを解いた。 「ふん……もはや殺すにも足りぬわ……あおいに感謝するがいい……」 かすれた声でそう吐き捨て、マグダレーナはアタッシュケースの中に戻る。 あおいは、菜々子の背を見つめていた。 「わたしの勝ちね、菜々子」 その言葉に、丸められた菜々子の背が、びくり、と震えた。 「もう、わたしたちに挑むのはやめなさい。あなたがどんなに強くなっても、絶対にわたしたちには勝てない。……神姫を失って悲しむ菜々子を、もう見たくないわ」 そう言って、桐島あおいは踵を返した。 まるで何事もなかったかのような足取りで。 足音は遠くなり、やがて消えた。 雪はいまや本降りとなっていた。 しんしんと降り積もる雪の中、菜々子は身動きすらできずにいた。 絶対の自信を持って挑んだ戦いに、あっけなく敗れた。 大事な人は、自分を気にもかけずに、去った。 大切な神姫は大破し、もはや再び動くかどうかもわからない。 菜々子は再び神姫を失おうとしている。 あの、地獄のような苦しみを、つらさを、また味わわなければならないのか。 自らの愚かな選択の代償として。 その罪のすべてを、マスターではなく、神姫が負うというのか。 そんなのはおかしい。 誰か。誰かミスティを助けて……。 無意識のうちに、菜々子は携帯端末を取り出していた。 冷え切った指先を必死で動かし、たどり着いた番号は、彼女がもっとも愛する神姫マスターのものだった。 通話ボタンを押し、端末を耳に押しつける。 やがて聞こえてきた彼の声に、菜々子はどれほど救われただろう。 だが、言うべき言葉が見つからない。 ただ、ただ、その事実だけを言葉にする。 「負け……ちゃった……」 自分の声が、自分の心を鋭くえぐった。 ◆ その心をえぐる痛みで、菜々子は目を覚ました。 あたりは薄暗い。瞳だけ動かして、周囲を確認した。 見慣れた天井、見慣れた壁紙。 ここは、自分の部屋だ。 あれから、わたしは何をして、どうなったのだろう。 それとミスティは……。 はっ、となって、机の上にあるクレイドルを見る。 いない。 いつもならすでに起きていて、笑みを浮かべている小さな神姫の姿は、今日に限ってはいなかった。 胸の鼓動がやけに大きく聞こえる。 ミスティは、あの後、どうしてしまったのか。 記憶がない。 この部屋にどうやって戻ってきたのかすらも覚えていなかった。 焦りを覚え、菜々子は起きあがろうとする。 「ぐ……」 身体の節々が痛い。 それに、喉がからからだった。 菜々子は無理矢理起きあがり、ベッドから立ち上がった。 本当に自分の脚で立っているのかも疑わしいほど頼りなく、ふらふらする。 同時に激しい空腹を感じた。 いったい、何がどうなってしまったのか。 菜々子は壁に手をついて寄りかかりながら、部屋の外に出た。 そのまま、居間の方へと歩いていく。 「……あら、おはよう。お目覚めね」 居間でお茶を飲みながら、ノート型PCを開いていた祖母が顔を上げて、微笑んだ。 「……頼子さん……ミスティは」 自分の声とは信じられないくらい、がらがらの声。 ふらふらの身体を叱咤して、なんとかちゃぶ台の向かいに座る。 すると、頼子はお茶を淹れて、菜々子に差し出した。 いつも菜々子が使っている湯飲み。 菜々子が起きてきたときのために用意していたのか。 菜々子は一口お茶をすする。 少しぬるめの緑茶が、渇いたのどに気持ちよく染み渡っていく。 「ミスティなら大丈夫。一昨日、お店に修理に出したと、遠野くんから連絡があったわ」 「とおの……くん……?」 「あら、覚えてないの? 土曜日の夜遅く、あなたを家まで連れてきてくれたのよ」 「貴樹くんが……」 まるで覚えていない。 記憶の最後の方、貴樹に電話したことだけ、かすかに覚えていた。 そんな不確かな連絡を受けて、彼は助けに来てくれたのか……。 菜々子の胸にあたたかいものが広がっていく。 ミスティもきっと無事なのだろう。そうでなければ、合理的な彼が、ミスティを店の修理に出すはずがない。 菜々子は少しだけ安堵した。 だが、大きな不安は拭えない。 わたしはこれから、何をすればいいのだろう。 不安げな顔をうつむいて隠した菜々子に、頼子は言った。 「まあ、少し休みなさい。動くのは、気持ちが落ち着いてからでも遅くはないわ」 「うん……」 どうやら祖母には、何もかもお見通しのようだった。 お茶を飲み、息をつく。 とりあえず、休もう。そしてこれからのことを考えよう。 まずは、貴樹くんにお礼を言わなくちゃ……。 つらつらと考えていた菜々子の耳に、ご飯にするわね、と頼子の声がわずかに聞こえた。 だが、菜々子が眠っていたこの三日の間に、とんでもないことが起こっていたことを、今はまだ、知る由もなかった。 次へ> Topに戻る>
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1060.html
第6話 「世論」 なんだかんだと小難しく考えたって、結局のところはやっぱり『ハイテクオモチャ』なワケ。 昔の話なんざどうでもいいし、後々どういう評価をされようと今の俺には関係ない。 取りとめもなくそんな事を考えていると、ニュース番組からも『武装神姫』って単語が聞こえてきた。 ホントに際限ないなと苦笑いしながら目をやったが、生憎ソレはあんまり楽しい話題じゃなかった。 『違法改造・販売業者を摘発 高額な美少女ロボットに傾倒する若者たちの実像』 ……要するに神姫の外見(そとみ)や中身をマニア向けにカスタムして売ってた連中がとっ捕まったって事らしい。 スタジオに設置された円状テーブルでは、良識派の看板背負ったオトシヨリが低俗なワカモノの行動を盛んに批判していた。 頭は寂しいのにヒゲだけもっさりしたオッサンが『縄文時代における遮光器型土偶を筆頭に世界中には女性を象った人形が数多く』と長そうなウンチクを披露し。 白衣で白髪のジーサンは『犯罪心理学的立場から見るに女性をイメージさせるものを所有したがるのは幼稚な独占欲の現れであり』とブツブツ。 さらに大ボリュームなパーマ頭に分厚い化粧のオバサンが『オモチャとはいえ『女を売る』こと自体がヒワイでサベツ的で低俗で下品でイヤラしくて』とヒステリーを起こしてる。 こういう答えの出ない論争に熱くなれるのは当人たちだけで、見てる方はどんどん冷めてくる。 実際、俺は『なんでココの連中は皆メガネかけてるんだろう』とか『おじいちゃんそんなエキサイトしたらアタるんじゃない?』とかをボーっと考えてた。……が、ルーシーは難しい顔をしてる。 「あんまりマトモに考えない方がいいぞ。 こういう連中は自分の信じてる事だけ喋ってるだけなんだから」 そう言ってみたが、小さく首を振った。 「違法に改造販売されたという神姫の事を考えていました」 ……あんまり小難しい話って嫌いなんだけどなぁ、俺。 「基本的に私たちはオーナーに対する『拒否』や『意見』という権利を認められていません」 「……のワリにゃ俺の考えた名前を片ッ端から斬り捨ててくれたような気がすんだけど」 「反面、購入者であるオーナーには完全上位者としての権利が発生し、それによりオーナーの決定には絶対服従……それが不当な命令や違法な改造であっても、私たちに『No』という選択肢はないんです」 俺の呟いたヒトコトを黙殺して自分の話を続ける。 ……お前ソレ絶対服従とかウソだろ。 「ですが、幸か不幸か……私たちに搭載されたAIには一通りの基本知識がプログラムされています」 「改造だろーが転売だろーが、ソレがどういう意味なのかは判るって事か」 「ハイ。 『所詮はオモチャ』……その通りであり、それ以上でもそれ以下でもないのですけれど」 小さく俯いたが、声の調子は変わらない。 「運命に逆らえず、そういう道を辿った神姫の事を考えると……少し、哀しくなります」 こういう時、俺はどう答えてやればいいんだろう。 あいにく女と付き合った事なんか学生時代にしかない俺の頭にはカッコいいセリフなんかちっとも出てこなくて、映画やドラマみたいにキメられない。 ……だから。 「俺、そういうの嫌いでさ」 しょうがないんで、さっきのコメンテーターみたいに俺の言いたい事だけ言う事にした。 「だからお前も言うな」 よくあるだろ? マンガなんかで『ウンメイがどーのシュクメイがどーの』ってヤツ。 あーゆーの見ると冷めるんだ。 よくあるパターンだなーってさ。 「……オーナーは、強い方なんですね」 俺の言葉をどう脳内変換して受け取ったのか、ルーシーはなんだか嬉しそうに笑ってそんな事を言った。 ……もしやお前、俺のこと『運命なんかに左右されてたまるか!俺の道は俺が切り開く! それが俺のジャスティス!』とか血管ふくらまして叫ぶ熱血硬派だと思ってる? ゴメンそれすごい誤解。 別に俺カッコいいこと言ったつもりないよ? あんま美化すると現実見てから辛くなるぞ? そう訂正しようと思ったが、コイツはもう「嬉しそう」って言うか「誇らしそう」に見えるくらいイイ笑顔になってたんで、結局言えず終いだった。 ……しょーがないじゃん、せっかく笑ってんだもん。 暗い顔させたくねーな、って思ったんだもん。 なんか俺って自分で思ってるよりコイツに入れ込み始めてんのかな、と思った……そんな1日。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/935.html
皆様、始めましテ。自分ハ第6弾建機型MMSグラップラップの試作機、ビルトと申しマス。只今自分ハ神姫センターの一角ニ有ル、とあル店舗ニ居リマス。 「さーさー、キモオタ共も婦女子諸君もよってらっしゃいですにゃ! うちは安さと品揃えじゃ他のツイヅイを許さないですのにゃ! ホラっ! 其処のこぎたにゃいアンタ、自分の神姫に甲斐性見せたって損は無いのですにゃよ?」 「小汚くって悪かったな、仕事帰りだよ。・・・あ、そういやシビルが何故かツナギなんて着たがってた覚えはあるけど、流石に・・・」 「あるですにゃ。ピンクのツナギだって完備完備!!」 自分ハ、武装神姫デ在りマス。つまりハ戦い合う為ニ開発されたタ機械でありマス。 「へえ、久しぶりに来て見たらこんなお店もあったのね。あ、これつくもに似合いそうな色のケープ。このストールとかロングスカートとか帽子も・・・」 「隊長ぉっ!! そんなものでお金使い切る前に、僕を早くメンテに連れて行って下さいよぉ!!」 「・・・何だか甘い匂いのする客だにゃ。店内への飲食物の持ち込みは止めて欲しいにゃ。試着の時ベタるから」 そしテ自分ハ建機型でありマス。建機と言えバ藤岡・・・でハ無ク、総じて無骨ナ外見ヲ有しマス。何故ならバその用途に見タ目は重要視されまセン。自分モそれニ習イ、見タ目ニ囚われズ何時か巡り合ウ自分ノ主の為ニ粉骨砕身すル所存デス。 「ったくネギの奴―、『俺は金出さないぞ。欲しかったら盗ってでも来い。俺はゴスロリ以外買う気は無い。そもそもゴスロリこそ、少女の魅力を最大に引き出すファッションでありetcetc・・・・』とか脳沸いた事言いやがってー! そんなに言うなら望みどおりにやってやるー! やっぱいいよなフライトジャケットはー」 「にゃに!? にゃーの目前で万引きするとはごっつええ度胸ですにゃ!! 行け下僕ぷちどもっ!! 泥棒カラスを北京ダックにするにゃ!!」 「後このスカジャンも・・・ あ? 何だこのぷち共はー。オレっちの邪魔を・・・」 「必殺にゃイツオブラウンドぉ~!!!」 射撃斬撃砲撃突撃爆撃襲撃狙撃打撃投撃鞭撃過激惨劇、盥。 「ぎゃー! まわってまわってまわってオチ~る~〈泣〉」 「・・・なのニどうしテ自分ハ服飾店ノ店員なドやって居ルのでしょウカ!?」 「新入り! つべこべ言ってにゃいで働くにゃ!! 手が多いからって使わなきゃムダムダにゃ!」 窓ヲ見れバ、人工光デ埋メ尽クされてイタ閉店時間。慣れヌ作業デ疲レ果てた自分ノ横デ、先輩はデコマ様よリ何かヲ受け取ル。在れハ、プリペイドカード? 「はいにゃーの助、バイト代だよ。新人教育の分、それとアレの分も含めて今日は多めにしておいたよ」 「さすがデコ魔ちゃん、あのヘタレと違って気前がいいですにゃ♪ これであのヘタレを素敵な刺激の旅へと誘えますにゃ♪ ぐふふふふ~♪」 「あはは、ほどほどにね。それじゃあ、お疲れ様。兄さんによろしく」 「お疲れにゃ! また猫の手が借りたくにゃったらいつでも呼ぶにゃ~♪」 言ウよリ早ク、先輩はカードを振リ回シながラ走り去って行っタ。もう見えナイ。しかシ神姫ニ・・・ 「さて、次は貴女の分を・・・」 「・・・神姫ニ、アルバイト代ヲ渡すノですカ?」 「え、変? だって正当な報酬じゃない?」 こノ人、こノ神姫用服飾店店長デ在リ、自分ヲ此処ヘ無断デ連れて来タ張本人で在ル彼女、通称デコマ様ハ、本当ニ不思議そうナ顔デ自分ヲ見つめ返ス。そんナ事、変ニ決まっテ居マス。 「労働基準法ニそんな項目ハ有りまセン。ソモソモ自分達ハ戦う為に造られタ武装神姫デス。其れガ人間の様ニ働くナド、可笑シイでショウ」 「えーでも、子供にお手伝い頼んだってお駄賃あげるのは普通じゃない? 別に正統さに法律関係ないよ。あ、でもお年玉とかたまに法で規制して欲しくなるな~。自分であげる様になってから切に思うよホント。それから役目が違うっていうのだってさ、副業で農家やるラーメン屋とか画材をアルバイトで買う画家とか・・あ、それは違う?じゃあ公務員・・はバイトしちゃいけないんだっけ。でも今じゃ公務員の給料下がりっぱなしだしバイトしないと食べてけないよねー。あ、そういえば昨日役所に行ったら丁度モトオさんがいてね、あ、モトオさんて私の恋人なんだけどコレがまた格好良くてね。でもそのとき手元を見たら貰っていたのが何とぜ・・・」 「兎モ角!! 自分ヲ開発部ニ返しテ下さイ!! ソモソモ何故ニ自分なのデスカ? 客引キでしタラ先輩ノ様ナ可愛らしいタイプを選定スレバ・・・イヤ其レ以前ニ・・・」 「でも建機型の貴女って腕いっぱいあるじゃない? だからいっぺんに服何個も持てて適材だと思ったの。それで貴女の開発会社に勤めてる友達の所に行ったの。そうしたら別会社だけど同じ第6弾試作2人は両方失踪した~って話してるじゃない? だから貴女もう一人くらい減っても大丈夫かなって思って。あ、でも皆会議やってたし、私も店の開店時間近かったから勝手に連れてきちゃったけど、ちゃんと断りの手紙は置いて来たよ。それにお給料は払うけど? そう言えば建機といえば土方子って娘がここのセンターによく来るの。今日はマスターだけ来てたけど。で、その土方子ちゃんも面白いんだよ。まああのカラーリングは重機と言うより猛獣注意・・・」 ソレニソレカラ彼是云々カンヌン・・・ト、デコマ様ハ矢継早ニ取り止めモ無ク話シ続ケル。この方ハ一度話し出したラ止まら無イらしイ。イヤそんナ事よりモ・・・ 「待って下サイ!! ソモソモ、どうしテ神姫ヲ雇用スル必要ガ在ルのデスカ!? 普通ハ人間ヲ雇用スルでしょウ!!」 「だってここ、神姫が自分の服買いに来る所だもの」 「・・・ハ? そんナ馬鹿ナ・・・アっ!!」 ソウ言えバ気ニなっテいまシタ。店内ノ通路ハ狭ク、小物陳列用什器ヲ改造したハンガー掛けハ店内ニ過密過ぎル程ニ配置さレ、奥まっタ場所ノ商品ハ完全ニ人間ノ目線からでハ死角ニなりマス。シカシ、ワザワザ神姫ガ手ニ取っテ見れル様、ソノ全てニ階段ガ用意されていマス。そしテ商品はパッケージングされずタグのミ、これハ明らかニ“玩具”でハ無ク“服飾”ノ陳列方法デス。更ニ、店内にハ神姫用試着コーナーすら有ル。 「・・・確かニ、神姫サイズに合わせタ服飾品点ト考えれバ、全テ合点ガ行きまス・・・」 「ついでにお値段も良心的でしょ? 神姫の貰えるお小遣いなんて大して高くないしね。布代は当然少ないし、“神姫用らしいある方法”でうちは製造コスト安いからこの値段で出せるの」 「しかシ、これハ・・・」 神姫ハ人間ニ従うモノ。神姫ハ人間ニ奉仕すル為ニ生まれタ機械。其レが義務。其レが目的。それなのニ・・・ 「神姫ガ自分ノ為ニ服を買うなんテ、全ク無意味デス!!」 「そお? でも奉仕するとか別にいいじゃないそんな事。私も好きでやってるんだよお店。色々な服作るのも見るのも好きだし、私の選んだ服で着飾った娘が喜ぶの見るの好きだし、色んな娘がワイワイ服選んでるの見てるだけだって楽しいし。大体オンナノコにとって服選びは一番楽しい事じゃない。その辺に体の大きい小さいは関係ないでしょ。だったら普段ココで気持ちよーくお買い物してたらバトルの時だって調子いいんじゃない? それにオーナーが自分の甲斐性見せるためのプレゼント用にって買いに来る場合もあるし、人間様にもそこそこ人気よ。あーそう言えば今度友達が作った神姫用の靴も販売するんだよココ。そしたらまた新しいお客さんも来るし、大体靴も合わせないと服って選びづらいし。あ、そうだ水着もあったら・・って、元々水着みたいなかっこうしてるか。じゃあ・・・」 「しかシっ!! 自分達ハ戦う為だけニ・・・造らレたモノなのデス」 「でも・・・だったらオンナノコの形に造らないでしょ。だからいいの♪ 小さかろうと大きかろうと、オンナノコが着飾りたいのは世の摂理よ!! それを邪魔なんて総理大臣だって出来ないでしょ♪」 「ハ・・ハイ・・・」 つまリ、女性であるなラ、着飾るのハ必然ニ近ク、それハ神姫であろうト変わら無イ。其れガこの方ノ考えらしイ。しかシ・・・ 「自分ハ、建機デス。見てくれなド、気にモ、されナイ・・・」 「じゃあ塗ろっか?」 「・・・ハイ?」 「実はずっと気になってたんだよね、そのアームの色。ちょっとジジくさいよねー。どうせならライムグリーンでどわ~って塗っちゃわない? バイオレットに白ストライプとかもちょっといいかも。あーラメもいいかもラメ。あとアクセ色々つけるとか? このアームに神姫用ブレス入るかなぁ? アンクレットの方が・・・あーそれは大きすぎかな。とりあえずリボンつけましょリボン。在庫はえっと・・・」 「イヤイヤイヤイヤ! 普通建機ニ其ノ様なビビットな配色ハ行わナイでショウ!!」 「そう? 似合うと思うけれど?」 「そうカモ知れマせんガ、しかシ・・・」 物にハそれなリノ根拠ガ有ルからこソ、配色ガ決めラレ、其れニ色を塗リ替えたとテ、其ノ本質マデ変えらレル訳でハ無いのデス。 「もー、カタいなあビルトは。いいじゃない見た目くらい好きでも」 そうハ言えド、例エ色如キを変えようトモ、自分ガ“機械”で在リ“建機”で在ル事にハ変わり無イのデス。其レでハ、只、虚しクなるだケ・・・ 「そもそも貴女って、建機“型”じゃない」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ア。」 「そう、つまり自分の好きな色でいいんじゃない?」 「・・・そンナ気ガして来まシタ」 「じゃあともかくリボンつけましょ。この深緑のとかどう?」 結、結、結、結、緑。 「・・・イイっ!!」 「イヤイヤ黄色に緑は悪趣味ですにゃ」 「ギャァっ!? 先輩!?」 「忘れ物取りに来たらナニ洗脳されてるにゃ新人。デコ魔ちゃんは別にあんたの事考えてるワケじゃにゃくて、単にヒトサマのモノだろーが神姫だろーがヒト自体だろーが気に入らにゃかったら徹底的に自分色に塗り替えちゃうだけな変人ですにゃ。ホラそこのヘンな色の壁とか道端にあった重機とか」 「えーでもこの前のロードローラーをレモンイエローに塗ったのは好評だったよ? ピンクも結構いいのよねピンク。ダンプ塗った時、赤系アクセントに入れたらカッコ良かったんだよねー、血が付いてるぽいって言われたけど。あーでも何でパールホワイトのバックホーは不評だったんだろう?・・・あ、汚れ目立つからだ。だったらシルバーを地にして、赤系でスリットを塗ったり~。でもこの前間違えて排気口ふさいじゃった事あったんだよね。あの時は結局機械が火を噴いて怒られた怒られた。だから・・・」 「塗ったンでスカ!? 重機を!?」 「え?うん。後放置自転車とかここのオーナーの車とか電車とかそれから・・・」 「イヤイヤイヤイヤ!! 器物損壊罪デスよ!!」 「それから・・・あれもこれもそれも・・・それで・・・」 「・・・聞いてテ居りマせんネ」 「新人、逃げるにゃら今のウチにゃ」 「うゥ・・・自分ハ一体何ヲ信じれバ良いのデショウ・・・」 「そんなもんにゃ、人生にゃんて」 ちゃんちゃん(?) 目次へ
https://w.atwiki.jp/guringurin/
2012/6/09 いまだにこんな辺境の地を見ていただいてるかはわかりませんが、移転予定。 ブログではなくて、HPをきちんと立てる予定。予定は未定といいますので、また長期失踪もありないこともない。 2012/5/23 ああ、顔のモデリングが・・・目が・・・口が・・・ 2012/05/13 武装完成。ゼビュロスが超絶怪しい 2012/05/12 ともあれ一応の完成。あとはテクスチャーはって微調整かなぁ http //www.nicovideo.jp/watch/sm17800077 【ニコニコ動画】【MMD】先生に踊ってもらいました【テスト】 2012/05/10 後ろからの資料が少なすぎた! 1360 768 2012/05/09 一日作業でエウクランテ装備。 ヘッドパーツは自信ないから予定はなし。 ↓ニコニコ静画でアップ http //seiga.nicovideo.jp/seiga/im2038199 2012/05/08 MMDモデルでも作っていきましょうか ※タイムスリップしとるがな。2011→2012表記替え 2011/10/26 もう何日もしないうちに終わってしまうんだなぁと。 2011/8/27 バトロン・ジオスタサービス延長だとな。 あれだけ何の音さたもなかったというのに今更っていう! 課金もできないし、特にやることは見つからないけれど MMD用の資料集めでもやりますかな 2011/8/25 ホワイトグリン子さんなるものを見つけてえらく気に入ったので MMDの操作方法に悪戦苦闘しながらようやく3秒分の動画になったので ニコニコ動画に上げてみました。 ↓ http //www.nicovideo.jp/watch/sm15423945 いやしかし、画質が悪すぎる 2011/8/23 時間がないので、ちまちま二次小説を一から手直し中。 プロットもなにもなしで思いつくままに書いてるためにこの先の展開どうするのよと 自分ながら思ってしまう。 2011/8/22 MMD導入してみました。 神姫のモデルデータを作成していこうかなって思いつつも、そんな時間もないのがやきもき。 2011/7/24 色々と8月は忙しくなる見通しから公式掲示板への投稿を終りにします。 本当なら、明言せずともひっそり消える予定でしたが なんの予告もないアイテムショップのセールとその価格に呆れてしまったのがキッカケでしょうか。 0円セールにしろよなんていうわけではなく、やるならやるで告知があれば 最後に課金して、あれやこれや一杯使ったSSつくってみたいとか思ってたのですが そんな事もさせてもらえませんか、そうですか。みたいな! 2011/5/31 バトロン・ジオスタ共にサービス終了とのことで。 3年前にニコニコで武装神姫の広告からやってきた自分が最初に購入したのがエウクランテ。最後に買ったのが天使型悪魔型Mk2になりますが、その間にたくさんの神姫と遊んだものです。 環境からフィギュアなどの実物に手が出せない自分にとってジオラマスタジオと武装神姫はほとんど同じものでした。 それが3ヶ月後に無くなってしまうと思うとさみしい気持ちでいっぱいです。 ここもほとんど更新もなかったですが、見ていてくださった方にはどれだけ感謝の言葉を著しても、すべて伝わらないのも寂しいものです。 残りの3ヶ月で出来る限りのSSを撮って、コナミにはこういう商品がほしいなっと送るメールの内容を考えていきます。 « » var ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86 = new Array(); ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[0] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20111025_001.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[1] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20110724_001.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[2] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100809_011.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[3] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20110319_035.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[4] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100810_060.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[5] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100810_014.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[6] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100809_001.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[7] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100715_002.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[8] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100710_001.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[9] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=HP%E7%94%A8.png ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[10] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100604_002.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[11] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100602_002.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[12] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100530_011.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[13] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100529_001.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[14] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100527_001.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[15] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100521_008.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[16] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100521_012.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[17] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100518_001.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[18] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20090720_002.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[19] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20090717_003.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[20] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100417_003.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[21] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100415_021.jpg ; ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[22] = http //w.atwiki.jp/guringurin/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&file=20100406_003.jpg ; window.onload=function(){ ppvShow_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86(0); }; function ppvShow_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86(n){ if(!ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[n]){ alert( 画像がありません ); return; } ppv_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86$( ppv_img_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86 ).src=ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[n]; ppv_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86$( ppv_link_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86 ).href=ppvArray_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86[n]; ppv_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86$( ppv_prev_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86 ).href= javascript ppvShow_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86( +(n-1)+ ) ; ppv_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86$( ppv_next_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86 ).href= javascript ppvShow_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86( +(n+1)+ ) ; } function ppv_0_ff60befc58931aef83105dfcea331d86$(){ var elements = new Array(); for (var i = 0; i arguments.length; i++){ var element = arguments[i]; if (typeof element == string ) element = document.getElementById(element); if (arguments.length == 1) return element; elements.push(element); } return elements; } 【since 2008/12/10】 このページ内における神姫NETから転載された全てのコンテンツの著作権につきましては、制作及び運営元である株式会社コナミデジタルエンタテインメントに帰属します。 ©2009 Konami Digital Entertainment なお当ページに掲載しているコンテンツの再利用(再転載・再配布など)は禁止しています。 当サイトでは、フィギュアなどの実物ではなく、神姫NETで配布している、「武装神姫ジオラマスタジオ」及び「同バトルロンド」コンテンツを中心とした内容であります。 更新速度はとてつもなくマイペースです。 また、ページによっては画像を多量に含むものがあります。(管理人の知識が許す限りの努力をもって見やすいようにはしております。)